かぶとむし日記

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石井裕也監督、妻夫木聡主演『バンクーバーの朝日』を見る。



12月29日、イオン板橋で11時35分から石井裕也監督『バンクーバーの朝日』を見る。


バンクーバーの朝日』は、妻夫木聡の奥行きのある演技を堪能できた。内気な青年を演じる妻夫木聡は、ほんとうにうまい。屈折した心を、寡黙な行動や表情の変化で表現できる役者だ。




1900年代初頭、新天地を夢見てカナダへと渡った多くの日本人が、過酷な肉体労働や貧困、差別という厳しい現実に直面する。


日本人街に誕生した野球チーム「バンクーバー朝日」は、体格で上回る白人チーム相手に負け続け、万年リーグ最下位だった。ある年、キャプテンに就いたレジー笠原は、偶然ボールがバットに当たって出塁できたことをきっかけに、バントと盗塁を多用するプレースタイルを思いつく。


その大胆な戦法は「頭脳野球」と呼ばれ、同時にフェアプレーの精神でひたむきに戦い抜く彼らの姿は、日系移民たちに勇気や希望をもたらし、白人社会からも賞賛と人気を勝ち取っていくが……。


(「映画.com」の解説から)


白人のなかで暮らす黄色人種への差別があった。


この映画を見ていると、日本でいま話題になっている人種や民族への偏見を連想しないでいられない。立場が代われば、わたしたちがいつでも映画の反対側の立場になってしまう。


といっても、そういう硬質なテーマがこの映画の見どころの中心ではない。小さなからだで白人チームに立ち向かう朝日チームの活躍は、野球映画として、すなおにたのしい。それと、栃木県足利市に組まれたという日本人街の広大なセットは、この映画のすごい魅力になっている。過去のその時代へ、一気にタイムスリップしてしまう。


バンクーバーの朝日』が、2014年に見た最後の映画になった。



バンクーバーの朝日』予告編
https://www.youtube.com/watch?v=NqdxmMaHpwI