かぶとむし日記

映画、音楽、本の感想を中心に日記を更新しています。

山田洋次監督『家族はつらいよ』を見る(3月15日)。


朝川越を出て、東武練馬のイオン板橋で、山田洋次監督の『家族はつらいよ』を見る。


年末に見た山田洋次監督の『母と暮らせば』が、わたしにはおもしろくなかった。善人しか登場しないこの作品は、予告編ですべてわかってしまうような気がした。実際に、吉永小百合も、二宮和也も、母子の関係が甘ったるくて共感できなかった。


今回の『家族はつらいよ』は、喜劇。寅さん映画のファンとしては、こちらのほうが期待できそうな気はしていたが、予告編を見ると、これもおおげさな古い喜劇を見せられるような不安を感じた。


というのは、最近見た横浜聡子監督の『俳優 亀岡拓次』に新鮮なコメディの衝撃を感じ、原作を読んだり、オフィシャルブックのシナリオを読んだり、自分のなかで、「亀岡拓次ブーム」の余韻が続いている。それもあってか、『家族はつらいよ』の予告編が古めかしいような印象を受けていた。


でも、『母と暮らせば』のような退屈は感じなかった。やっぱり山田洋次監督の喜劇はたのしい。新鮮さや驚きはなかったが、安心して笑えた。


俳優陣は、橋爪功吉行和子、西村雅彦、夏川結衣中嶋朋子林家正蔵妻夫木聡蒼井優と、前作『東京家族』とぴったり重なる。


東京家族』は、小津安二郎監督『東京物語』の、真正面からのリメイクだったけれど、この『家族はつらいよ』も、ひとひねりしているものの、『東京物語』へのリスペクト作品だったのだ。


映画の最後にオリジナル『東京物語』の映像が使われていた。山田洋次監督の小津監督への深い敬愛をあらためて感じながら、映画館を出る。