かぶとむし日記

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三島有紀子監督『幼な子われらに生まれ』を見る(8月31日)。


8月31日、木曜日。朝早く川越を出て、「テアトル新宿」で三島有紀子監督の『幼な子われらに生まれ』を見にいく。早く着いたので、近くの「ルノアール」で本を読みながら、開映時間を待つ。


読んでいるのは、芝木好子の短編集『洲崎パラダイス』。川島雄三監督の映画『洲崎パラダイス 赤信号』の原作。この短編集は、かつて深川付近にあった遊郭に生きる女性たちの物語。


洲崎パラダイス (集英社文庫)

洲崎パラダイス (集英社文庫)


わたしは、この作家のもつ切ない叙情性が好きだ。厳しい状況に置かれながら、もがくように懸命に生きる彼女たちを、甘すぎず辛すぎずどこか共感を漂わせて、芝木好子は描いている。もっとこのひとの作品を読んでみたい、とおもうけれど、まだ電子書籍化されていないのが不便。




三島有紀子監督、浅野忠信主演の『幼な子われらに生まれ』は、浅野忠信が、再婚して血のつながりの子供たちを育てることの苦労を中心に家族のありかたを描いていく。ごくふつうの父親の苦労を浅野忠信が好演していて、「うまいなあ」とおもう。


会社は左遷され、長女からは反抗され、なんのために再婚したのかわからなくなりかけている父親を浅野忠信が演じているが、自分を失ってしまわない微妙なところで日常の正気を保っている。このバランス感覚がいいなあ、とおもう。


再婚相手の妻が、田中麗奈。前妻が、寺島しのぶ。どちらも、よかった。田中麗奈楽天的な若妻が可愛い。しかし、彼女も前の夫のギャンブル好きと暴力には苦労して、離婚したのだ。それだから新しい夫(浅野忠信)との結婚を成功させようと努力している。明るいなかに、必死さがみえる。


原作は、重松清。まだ読んでいない。


『幼な子われらに生まれ』予告編⬇
https://www.youtube.com/embed/M3IUP7tZp50



帰り、歌舞伎町の「磯丸水産」で昼食をすませ、練馬のアパートへ帰る。