かぶとむし日記

映画、音楽、本の感想を中心に日記を更新しています。

武者小路実篤著『釈迦』を読みはじめる。


武者小路実篤の作品『釈迦』を読みはじめる。岩波文庫で新しく刊行されたので。『釈迦』は、昭和9年(1934)発表の作品。


釈迦 (岩波文庫)

釈迦 (岩波文庫)


このころ、プロレタリア文学が盛んになり、既成の作家は半ば失業状態になっていた。武者小路実篤も、そのひとり。


新しき村」もまだ自立できていない。武者小路実篤は「新しき村」を精神面だけでなく、経済的にも支えねばならず、たいへんな時期だったと想像する。この時期『トルストイ』、『二宮尊徳』、『大石良雄』、『一休』などの伝記を残している。わたしが、読んでいるのは『トルストイ』だけ。


『一休』はまだわかるにしても、武者小路は、『二宮尊徳』や『大石良雄』の、どこに自分との接点をもうけて、書いたのだろうか。それだけ、経済的に注文をこなさなければならなかったのかもしれないが、逆に好奇心もあって、読んでみたくなる。「二宮尊徳」や「大石良雄」が、武者小路実篤の関心ある人物とはおもえないので。


そういう意味では、『釈迦』は武者小路実篤には取り組みがいのある素材だった、とおもう。釈迦は、実篤にとってトルストイ、キリストとともに若き日から尊敬する人たちのひとりだったから。


武者小路実篤の作品はみんなそうだけど、平易な文章で、読みやすい。