8月25日、土曜日の続き。
酷暑のなか、宮益坂をのぼって、「シアター・イメージ・フォーラム」(渋谷)へいく。見る映画は、50年前の反戦映画、ピーター・ブルック監督『テル・ミー・ライズ』。
「シアター・イメージ・・・」は、長らくインターネットで座席予約できなかった。それでついつい敬遠するときもあったけれど、上映するものは、ここでしか見られないものがおおい。この映画も、ほかではやっていない。それで映画館のサイトを検索してみたら、インターネットで予約できる機能が追加されていた。とにかく、上映前に並ばずにすむのはうれしい。
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今年93歳になった、演劇界の<生きる伝説>、ピーター・ブルック。1968年に激化したベトナム戦争を痛烈に批判した監督作、『テル・ミー・ライズ』はその年のカンヌ映画祭に選出されるも、上映取消し。しかし同年のヴェネツィア映画祭に選出され、審査員特別賞とルイス・ブニュエル審査員賞の2部門受賞する。だが本作はアメリカやイギリスの一部の劇場でしか公開されず、しかも様々な妨害を受け、短期間しか上映できなかった。また本編も紛失し、幻の作品とされてきた。しかし、2011年に本編が発見され、修復し2012年に復活上映。そして50年の月日を経て、ついに日本でも劇場公開される!
“なぜ、人は争い、なぜ、それを終えることができないのか?”
(映画公式サイトより)
http://tellmelies.jp/index.html
アメリカではなく、イギリスの映画。ベトナム戦争と自分たちがどう向き合っていくのか、を問いかけていく。日本初公開。
1968年のスウィンギング・ロンドンの時代。ポップ・カルチャー、前衛芸術、ファッションなど、若者の鋭角な感性が文化の主流を占めていた。
ポップス界は、エリック・クラプトンやジミ・ヘンドリックスという新しいギター・ヒーローが登場し、ハードなブルース・ロックが軽快なポップ・ミュージックに変わりつつあった。
ビートルズは、2枚組の大作『ザ・ビートルズ』(通称:ホワイト・アルバム)を、ローリング・ストーンズは、『ベガーズ・バンケット』を発表した。そんな時代。
わたしは、日本の田舎に住む学生で、ロンドンの新しい若者の文化を、ロックや映画を通して、ほんの少しだけ肌で感じていた。でも、ベトナム戦争について考え、それにどう向き合うのか、というまでの意識はなかった。
「生活圏外のものには関心がない」
という映画に登場するひとの発言もある。当時のわたしはそれに近かった。
映画は、セミ・ドキュメンタリー。実在の人物と役者が共演している。映画のなかには、さまざまなベトナム戦争への意見が出てくるけれど、問題の多くはいまも変わってない。50年たってもほとんど解決していない、ってことなのか。
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川越駅で妻と合流。「マイン」の食堂で、冷たいうどんを食べながらホッピーを飲む。