かぶとむし日記

映画、音楽、本の感想を中心に日記を更新しています。

ドラマ『ビブリア古書堂の事件手帖』を見る。

f:id:beatle001:20190116113944j:plain


昨年11月に公開された、映画版の『ビブリア古書堂の事件手帖』は、ストーリー、設定、すべてが作為的で、おもしろくなかった。わたしは、ぼんやり映画の不満をブログであげたが、原作、ドラマ、映画を全部ごらんになったmarcoさんは、この映画の失敗要因を細かく分析されている。

http://garadanikki.hatenablog.com/entry/20190105/1546668405
marcoさんのブログ。ドラマの栞子さんのようにあざやかな分析です。


なかでも、致命的なのは、鎌倉を舞台にしていながら、鎌倉をいっさいロケ地として撮影してないことだと、marcoさんは指摘している。ストーリー、人物設定だけでなく、舞台まで作為を弄して、自滅してしまったとしかおもえない。


鎌倉と古本屋を舞台にした作品という、条件的には好きな状況なのだから、それではドラマ版はどうなのだろう、とお正月にDVD6枚、走破した。



まず舞台の鎌倉はきちんと出てくる。わたしでも見たことのある場所、風景がときどきドラマの背景に映る。そういう違和感はなかった。


主人公の古書店主・篠川栞子(しのかわ・しおりこ)は、映画では黒木華(くろき・はる)が演じていたが、ドラマでは剛力彩芽


わたしは、剛力彩芽のドラマや映画を見るのははじめて。見る前は、演技派の黒木華には及ばないのでは、と勝手におもっていたけれど、ぜんぜんそんなことはなくて、感情をおもてにださず、たんたんと謎をといていく静かな栞子の役を、好演していた。


相手役というか、準主演の五浦大輔を演じたAKIRAも、演技が自然で、古書に造詣の深い栞子に対する尊敬も、自然に出ていた。


脇を固める人物のなかでは、志田肇を演じた高橋克実がよかった。



このドラマを見て、つくづく自分は、愛書家ではないなあ、とおもった。一冊の本に秘められた「過去の謎」を追うミステリーなのだけれど、自分自身では「初版本」や「貴重本」に対する興味がまったく欠けている。だから、ドラマひとつひとつをおもしろく見ても、1冊の本のゆくえを追って必死に奔走する登場人物たちに、心からの共感は感じられない。


むかし、古本屋を見るのが好きで、東京でも鎌倉でも京都でも古本屋歩きをしたが、初版本があった、とか、貴重本があった、とか、そういう目で見たことがない。あくまで、読みたい本がみつかると買っただけ。あと、値段(笑)。


読みたい本が図書館にあればそれでいいし、最近では狭い部屋に本が溜まるのを嫌って、できるだけ電子書籍で読むようにしている。あとからの検索も、電子書籍のほうがすばやい。


そんなことをおもいながら、でも、剛力彩芽演じる篠川栞子(しのかわ・しおりこ)さんの名推理をたのしみながら見終えた。



ひさしぶりに、街の古本屋へ寄ってみようか、とおもう。剛力彩芽のようなかわいい店主が店番しているかもしれない(笑)。