かぶとむし日記

映画、音楽、本の感想を中心に日記を更新しています。

エリック・クラプトンのコンサートを見る(4月15日)。

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4月15日、月曜日。きょうはたのしみにしていたエリック・クラプトンのコンサート。午後仮眠して昼酒の酔いをさまし、日本武道館へ向かう。


4月1日、武道館周辺に、「ひとり花見」にきている。それから半月。少しだけ桜の花が残っていた。


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エリック・クラプトンが初来日したのは、1974年。彼は明らかに酔っていた。いまの黙々とギターを弾いて歌うクラプトンではなかった。彼の『エリック・クラプトン自伝』を読むと、そのころ彼はアルコール依存症のまっただなか、コンサートでも意識がモーローとしていて、内容も定かでなく、翌日ほかのメンバーに、「きのうはどうだった?」ときいて確認するような状態だった、という。

彼の来日をあらためて数えてみる。


(「ウイキペディア」、[エリック・クラプトン]の項目参照)


以上、数えてみると22回に及ぶ。エリック・クラプトンは、心身の弱っているときも、日本へ来日している。自分のコンディションの素のままを、日本のファンには見せている、ともいえそうな気がする。


長らくライヴ活動から遠ざかっていたジョージ・ハリスンがコンサートをやるとき、「日本のファンは、静かにちゃんと聴いてくれるから」とクラプトンはすすめた。まずはじめに日本へジョージ・ハリスンがやってきたのは、エリック・クラプトンのおかげだと、わたしはずっと感謝している。


その後、ジョージ・ハリスンはワールド・ツアーをやめてしまったので、結果的に日本のファンだけがジョージのフル・コンサートを体験できた、ことになる。



前回(2016年)のエリック・クラプトン・コンサートはクラプトンが来日すると集まる「クラプトン会」のひとたちと飯田橋で事前に祝杯をあげた。それからコンサートへいったので、ヘロヘロ状態だった。


しかも、この年はなぜか、大型スクリーンがないので、豆粒のようなクラプトンしか見ることができなかった。演奏も、2014年と大差ないような気がして(わたしが酔っていたせいもおおありだけれど)、不満の残るコンサートになってしまった。もうクラプトンのコンサートはいいかな、っておもったりもした。



でも、時間が経つと、やっぱり来日するのに見ないわけにはいかない、とおもえてくる。もう事前に飲みすぎるのはやめよう。「クラプトン会」のメンバーは4月20日に結集する、と連絡があったけれど、わたしはコンサートはひとりで見ることにする。



午後7時を少し過ぎて会場のライトが消える。メンバーとエリック・クラプトンは同時に、なんのひねりもなくぞろぞろ歩いてステージにやってくる(笑)。


毎回のことだけれど、おもしろい。たとえば、メインのクラプトンが一歩遅れて登場する、っていうような演出はもういらないのだろう。ぞろぞろ勝手に出てくるのが、わたしはいかにもエリック・クラプトンらしい、とおもう。


1曲目の「Pretending」がはじまったとき、今回のコンサートはたのしめる、という確信をもった。


ステージの両サイドに大型スリーンがある。わたしの2階席からはほとんど目の高さにあるので、クラプトンの表情も、ギターの指づかいもよく見える。2階席なら、前のひとが立ち上がるということもまずないだろう。きょうは、じっくりクラプトンを聴こう・見よう、とおもった。


今回は、ブルース色が濃い。アレンジは変えても、土台はずぶずぶのブルース・ナンバーで構成されている。ブルースというのは、コード進行とかイントロとかが似ているので歌がはじまってやっと曲がわかる。おもわず、「おおー」って声を出してしまう。


いっときはスタンダード・ナンバーで毛色のちがうセットリストを組んでいたことがあったけれど、今回はかなり直球のブルース・コンサートになっている。


変わったところでは、ジョージ・ハリスンとの共作で、クリーム・ナンバーでもある「Badge」が演奏された。厳密に調べているわけではないけれど、久々のセットリスト復活ではないだろうか?


70年代には、「Badge」から「Let it Rain」のメドレーでよく演奏されていた。ジョージ・ハリスンの香りが漂うナンバーで、派手ではないがわたしの好きな曲だ。

セットリストは以下の通り


01.Pretending
02.Key To The Highway
03.Wanna Make Love To You
04.Hoochie Coochie Man
05.I Shot The Sheriff
06.Driftin‘
07.Nobody Knows You When You’re Down And Out
08.Tears In Heaven
09.Layla
10.Running On Faith
11.Badge
12.Wonderful Tonight
13.Crossroads
14.LIttle Queen Of Spades
15.Cocaine

アンコール

16. High Time We Went


エリック・クラプトンのばあい、オリジナル・アルバムとライブの選曲にあまり相関性がない。むかしから、オリジナル・アルバムにはない曲をどんどんステージで演奏する。たとえば、有名な「Crossroads」(原曲は、ロバート・ジョンソン)も、クリームのライブ音源の演奏しかない。


だから、この曲はどのアルバムに収録されている、っていう作業は割愛(ただメンドーなだけ、笑)。簡単にいえば、これまでのエリック・クラプトンのコンサートではよく演奏されている曲ばかり。

バック・ミュージシャン


クリス・ステイントン(Key.)
ドイル・ブラムホールII(G./ Vo.)
ネイザン・イースト(B)
ポール・キャラック(Key. / Vo.)
ソニー・エモリー(Dr.)
シャロン・ホワイト(Back Vo.)
ケイティ・キッスーン(Back Vo.)


ウド音楽事務所の公式サイトより
https://udo.jp/concert/EricClapton


クリス・ステイトンとポール・キャラックのダブル・キーボードが見せ場をつくるシーンも多く、今回は大型スクリーンが設置されていたので、ふたりの華麗な指づかいをしっかり堪能できた。


ドイル・ブラムホールIIは、わたしははじめて。サウスポーのギタリスト。クリーンで繊細なクラプトンのギターに、少しラウド感覚の音色がまじるのがたのしい。


ネーザン・イーストは、クラプトンのファンにはおなじみのベーシスト。目立つプレーはしないけれど、クラプトンの信頼は絶大のようで、ちょっと見ないとおもうと、すぐに復活してくる(笑)。


ドラマーのソニー・エモリーも、はじめて。わたしには演奏の特徴まではわからないが、今回たとえば、「Tears In Heaven」をレゲエ調でアレンジしていたけれど、そのリズムを心地よく叩き出していた。



ほぼ2時間のコンサート。


会場から「エリック、サイコー!」、「クラプトン、ありがとう!」の声が飛ぶ。すばらしい演奏、充実した演奏に、ほんとうにそんな声をかけてしまいたい気持ちがわかる。


アンコールは、ポール・キャラックが歌う「High Time We Went」。


アンコールがエリック・クラプトンではなく、バック・ミュージシャンのひとりが歌うというのは稀でおもしろいけど、すでに何回かそれを経験しているので、もうおどろかない(笑)。




帰りは、混雑しているので、飯田橋まで歩く。飯田橋駅前にある屋台ラーメンを食べて、風で冷えたからだをあたためる。それから、やはり駅近くにある立飲み「晩杯屋」へ寄る。