かぶとむし日記

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ミキ・デザキ監督『主戦場』を見にいく(4月25日)。

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4月25日、木曜日。


渋谷の「シアター・イメージフォーラム」へ、ミキ・デザキ監督のノン・フィクション映画『主戦場』を見にいく。


前にも書いているけど、ここがネット予約できるようになったのは比較的最近で、以前は整理券をもらって時間になったら並ばなければならなかった。ネット予約が一般化してくると、このことがとてもめんどくさかった。それが解消された。


渋谷駅のハチ公口から、宮益坂をのぼって青山通りへ向かう。青山通りにぶつかったら左折して、古本屋さんがある信号を渡ると「シアター・イメージフォーラム」へ着く。


予約番号をタッチパネルに入力。チケットを発券してゆうゆう上映時間を待つ。あらためて便利になったな、とおもう。



午前10時50分から、ミキ・デザキ監督の『主戦場』を見る。



映画『主戦場』予告編

日系アメリカ人映像作家ミキ・デザキが慰安婦問題をめぐる論争をさまざまな角度から検証、分析したドキュメンタリー。


慰安婦問題について、デザキの胸をよぎるさまざまな疑問。慰安婦たちは性奴隷だったのか、本当に強制連行はあったのか、元慰安婦たちの証言はなぜブレるのか、日本政府の謝罪と法的責任とは……。


この問題を検証すべく、日本、アメリカ、韓国、肯定派と否定派それぞれの立場で論争の中心にいる人びとに取材を敢行。さらに膨大な量のニュース映像や記事の検証を交え、慰安婦問題を検証していく。


(「映画.com」より)
https://eiga.com/movie/90844/


従軍慰安婦問題。


日本軍が関与していたか?
彼女たちは、強制的に連行されたのか、からだを売る「仕事」だったのか、あるいは悪徳業者に騙されたのか?


従軍慰安婦に日本軍の関与があった」派と、「なかった」派の政治家・学者・論客が自説を展開する。


論客は一同に会したわけではなく、個々にインタビューがおこなわれたものを、細かな論題ごとに噛み合わせ、あたかもそこで自説を応酬しているような編集になっている。よくこのひとが出演してくれたな、とおもうようなひとも出ている。そして、熱心に自説を展開している。


公平にインタビューを並べているので、観客は、論者の主張や表情から、自分の立つ位置を選択していく、そういう構成になっている。


しかし、映画の後半「歴史教育」、「メディア・言論の統制」、「日本会議」などの問題になると、安倍晋三という歴史修正主義者、それを支える母体、団体などに映画は解説をくわえていく。


1997年、自民党議員を中心に「つくる会」(あたらしい歴史教科書をつくる会)が結成され、教科書から「慰安婦」という言葉が抹消される。歴史修正主義者は、日本にとって、彼らが考える不名誉な歴史的事実を、教科書から排除していく。


そのなかの若手議員のひとりがまだ当選2期目の安倍晋三だった、という話の展開から、そのあとは現在の安倍政権を支える最大の右翼団体日本会議*1や、憲法改正を祈願する「神社本庁*2へも話が及んでいく。


歴史修正主義者・安倍晋三政権の裏でなにが起こっているのか? 彼をどんな思想団体、組織が支えているのか?


ここまでくると、映画製作者は左右の論客に「公平」であることを超えて、危険を告発する表情が少しずつ顔を出してくる。少しではないかもしれない。


憲法改正」。こんどの参議院選挙では、この問題が大きく論点となってくる。


ミキ・デザキ監督の声がいう。


「日本人のみなさんに聞きたい。みなさんは、わたしの国(アメリカ)と一緒に戦争することを望むのですか?」(映画のままのセリフではなく、記憶で書いています


歴史の修正、偏見・差別の横行、弱者への不寛容など・・・日本の今おかれている状況に、わたしたちがどう向き合うのか、と問いかけてくる作品。



帰り、センター街まで歩き、昼呑みできる「テング酒場」で、ホッピーとハイボールを飲みながらランチの「唐揚げ定食」を食べる。

*1:日本会議:日本最大の右翼団体安倍総理ほか、この映画製作時点で、政府の閣僚20人中16人がこの団体に所属している。

*2:神社本庁:神宮を本宗とし、日本各地の神社を包括する宗教法人。「ウィキペディア」より」