かぶとむし日記

映画、音楽、本の感想を中心に日記を更新しています。

インド映画『パドマーワト 女神誕生』を見る(6月18日)。

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6月18日、火曜日。晴れ。


川越を出て、「新宿ピカデリー」へ、インド映画『パドマーワト 女神誕生』を見にいく。


旅行疲れが残っているのか、眠い。急行を見送って、すわれる準急にのる。


車中、虚無主義者・金子文子と朴烈(ぱくよる)を取材した瀬戸内寂聴著『余白の春』の終盤を読む。紙の本に割く時間が少なく、ついつい間隔があくので、なかなか読了しない。内容がつまらないわけではないのではがゆい。


あの寂聴さんの笑顔からは想像しにくいけれど、日本が隣国にたいして行った横暴な行為への怒りがページの裏から滲み出る。


併合(註:日韓併合)後の日本の統治が、韓国にとって如何に苛酷を極めたかは、これまでの日本のやり口から見ても想像に余るものがある。事実、曾禰(註:曾禰荒助[そねあらすけ])にかわって、併合時から統監になった寺内正毅(てらうち・まさたけ)は、憲法制度と警察制度を強化し、朝鮮総督府を設置して、韓国からあらゆる民族的なものはすべて抹殺する方針をとった。新聞や一般出版物にも、苛酷な言論統制政策をとり、教育にも、私立学校で反日民族意識を教えることを怖れ、教科書使用に法的制裁を加え、植民地教育の露骨な政策は日を逐うて顕著になっていった。


瀬戸内寂聴『余白の春』〈岩波文庫、P251〉)

こんな日本の圧政の歴史が綴られていく。


金子文子というアウトローへの共感に、寂聴さんのもうひとつの素顔が見えてくる。



紀伊国屋書店に立ち寄り、新刊を物色。おもしろそうな本は、タブレットで検索し、電子書籍にあればキープする。


新宿ピカデリー」は、大きな映画館なので上映するスクリーンまでいくのに時間がかかる。早めにロビーに着いて、コーヒーを飲んで待機。



11時20分から、『パドマーワト 女神誕生』がスタート。



映画『パドマーワト 女神の誕生』予告編




16世紀に生み出され、500年にわたり語り継がれるインド古来の伝記を「トリプルX 再起動」でハリウッド進出も果たしたインドのトップ女優ディーピカー・パードゥコーン主演で映画化した歴史大作。


(「映画.com」より)
https://eiga.com/movie/88590/


インド映画『ハーフバリ』のおもしろさをもう一度味わいたい、そんな動機で見にいく。


アクション映画としては、『バーフバリ』に及ばない。しかし、主演女優ディーピカー・パードゥコーンの、聡明な美しさは、彼女を見ているだけで飽きない。厳しい状況を乗り切るためにみせる強固な意志。決意する女性の美しさ。


悪役は、野心と美しい女性への限りない欲望に燃えている。王を殺害し、王になり、隣国の王妃が美しいといえば、それを手段を選ばず手に入れようとする。それは悪役にふさわしい。


しかし、王妃が愛する正義の王のまぬけさには目を覆う(笑)。誇り高き王という自分への陶酔はいいが、相手の策略にまんまと乗り、捕縛され、それを命がけで救済するのは聡明な王妃。そんなの、たまらないよ(笑)。


自分の愛する王妃をこんな危ない目にあわせても正義の誇りを守るのか。


スジだけ見れば、呆れるほどの王の配慮のなさが目につく。しかし、その王のために命をかけ、最期は王のあとを殉じようとする王妃の美しさは、それだけで飽きなかった。


こういう映画はたくましい男性のアクションが売りになりそうだけど、この映画の主役はあくまで美しく聡明な王妃。


そういう意味では「一億女性総活躍時代(ホント!?)」にふさわしい映画かもしれない(笑)。


3時間近い映画、寝ないで見れた。



帰りは立飲み『春田屋」で、ホッピーと焼きとん。


カウンターにはいっている褐色の顔をもった外国人がすごく感じがいい。日本語もうまい。真っ白な歯を出して、笑顔で注文を聞いてくれる。この店で、このひとに会うとホッとする。


ついつい今の政権の外国人政策でひどい目にあっていませんか、と聞いてみたくなる。でも、笑顔をみるとそんなひどい目にあってるとはおもえない(そう、おもいたい)。