かぶとむし日記

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白石和彌監督『ひとよ』を見る(11月9日)。

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11月9日、土曜日。川越駅で妻と合流。妻のクルマで、「ウニクス南古谷」へ、白石和彌監督『ひとよ』を見にいく。


見る動機は、松岡茉優田中裕子ふたりの女優。






映画【ひとよ】予告 11月8日(金)全国公開



タクシー会社を営む稲村家の母こはるが、愛した夫を殺害した。最愛の3人の子どもたちの幸せのためと信じての犯行だった。こはるは子どもたちに15年後の再会を誓い、家を去った。


運命を大きく狂わされた次男・雄二、長男・大樹、長女・園子、残された3人の兄妹は、事件のあったあの晩から、心に抱えた傷を隠しながら人生を歩んでいた。




(「映画.com」より)
https://eiga.com/movie/91031/


母が3人の子供たちにひどい暴力をふるう夫をクルマで轢き殺す、という衝撃的な場面からはじまる。


母は、暴力夫から子供たちを解放したつもりで刑に服する。


しかし、夫殺しの母をもつ3人の子供たちへ、世間の目は冷たかった。子供たちは母に感謝するどころか、15年の刑期をおえて帰ってきた母に、冷たくあたる。


母の、子供たちを守ろうとして起こした殺人は、無意味だったのだろうか?


そんなことをいろいろ考えさせる作品。


でも、なんだかわたしには切実に迫ってこなかった。ものがたりが観客をまきこむことなく劇のなかだけで進行しているように冷めて感じられた。


演出は全般にくどくて、わたしは好きでない。


田中裕子は、もっと明るいはじけた役柄をできるひと。なぜ、こんな薄幸なひとばかり演じるのだろう、っておもう。「おしん」というドラマを見ていないので、なんともいえないけれど、この大当たりしたドラマの印象がいまでも田中裕子のイメージに影響しているのだろうか。


広がりのない陰湿な母親の役で、田中裕子という女優の魅力が感じられなかった。


一方、長女・園子を演じた松岡茉優は、なかば人生を放棄して生きているような崩れた若い女性をリアルに演じていて、よかった。


大九明子監督『勝手にふるえてろ(2017年)
斎藤工監督『blank13(2018年)
小泉徳宏監督『ちはやふる 結び』(2018年)
是枝裕和監督『万引き家族(2018年)
石川慶監督『蜜蜂と遠雷(2019年)


と、順調に出演作が続いているけれど、それぞれちがうタイプの女性を演じていて、幅のひろい女優だなあ、という印象がある。どれもリアリティがあるし、彼女が出ているなら見てみようかな、っておもわせる魅力がある。


作品じたいと田中裕子には不満が残ったけれど、松岡茉優がよかったので、半分満足して映画館を出た。