かぶとむし日記

映画、音楽、本の感想を中心に日記を更新しています。

2007-01-01から1ヶ月間の記事一覧

成瀬巳喜男監督『妻』(1953年)

『めし』、『夫婦』などと同じく夫婦(結婚してから10年くらい)の倦怠期を描いた作品。夫役は『めし』と同じく上原謙ですが、妻役は高峰三枝子。挙動に品のない女性を高峰三枝子が演じています。この種の夫婦ものと同じく、映画のスタートから、夫婦のあい…

1962年にはじまった『座頭市物語』

何年か前の話ですが、ビートたけし監督の『座頭市』が上映されていたころ、池袋の新文芸座で勝新太郎の「座頭市シリーズ」が日替わりで特集されていました。それで、ひさしぶりに三隅研次監督『座頭市物語』の第1回を見直しました。ビートたけし監督のあたら…

成瀬巳喜男監督『乙女ごころ三人姉妹』(1935年)

いにしえの浅草を舞台にした人情話。この映画が制作されたときは「現代」だったわけですが、いまとなっては、白黒の古めかしい映像以上に、えがかれている社会に「隔世の感」をおぼえます。「おかあさん」に雇われた女性たちが、三味線をもって酒場をながし…

またもや映画が「たきおか」へ(1月27日)

きのうは、きょねん公開されて気になっていた西川美和監督『ゆれる』を名画座へ見にいこうとおもっていました。ところが、会社の仲間に「『たきおか』へいきませんか」と誘われたとき、「きょうは映画にいくんです」といって断ることができませんでした。朝7…

成瀬巳喜男監督『驟雨』

倦怠期を迎えた夫婦の話、というと『めし』を連想しますけど、まさに『めし』の夫婦が再登場したような映画のはじまりでした。夫の役は『めし』の上原謙から佐野周二に俳優がかわっていますけど、妻の役は同じ原節子。しかも、原節子の世帯やつれぐあいは、…

成瀬巳喜男監督『妻として女として』(1961年)

ひとりの男(森雅之)をめぐって、妻(淡島千景)としての言い分と、愛人(高峰秀子)としての言い分が衝突、その結果として、妻も愛人も双方が傷ついていく、そんな映画です。成瀬巳喜男は、通常激情的なシーンを登場させません。水面は穏やかで、奥底で激…

新藤兼人監督『悪党』(1965年)

■あらすじ時は14世紀、動乱の南北朝時代。足利尊氏の執事として、天下に権勢をふるっていた高師直(こうのもろなお)と、塩谷判官(えんやはんがん)の妻、顔世(かおよ)の物語。下品な権力者、高師直(こうのもろなお)は、塩谷判官の妻に懸想し、『徒然草…

佐々部清監督『カーテンコール』(2004年)

下関の小さな映画館の物語。名画座の「みなと劇場」は映画全盛期で客が劇場にはいりきれないほどにぎわっていた。あるとき、フィルムが切れて観客がさわぎだすと、その穴埋めに映画館で働く安川修平という青年がありあわせの物まねコントをやって、急場をし…

恩蔵茂氏「ビートルズが来た!」を読んで(3)

【注】:『恩蔵茂氏の「ビートルズが来た!」を読んで』(1)(2)の続きです。はじめての方は、こちらを先に読んでください。 ビートルズより先にやってきたイギリスのグループ 「ビートルズ・クラブ」に連載されている、恩蔵茂の「ビートルズが来た!」がと…

新藤兼人監督の映画2本

新藤兼人監督では、むかし見た『鬼婆』という作品が強く印象に残っています。戦乱の時代を舞台に、欲望に飢えた母と娘が、動物のように同じ男をとりあう凄絶な映画でしたが、神秘的で詩情にあふれていました。いい意味で、テーマのどぎつさを、抽象化するこ…

ブライアン・デ・パルマ 監督『ブラック・ダリア』

2006年アメリカ映画 出演:ジョシュ・ハートネット 、アーロン・エッカート 、スカーレット・ヨハンソン 1947年LAで起きた、エリザベス・ショート殺人事件に着想を得たJ・エルロイの小説を基に、殺人事件が若き二人の刑事と関わる人々の運命を狂わせていく様…

ジョナサン・グレイザー監督『記憶の棘』

2004年アメリカ映画 出演:ニコール・キッドマン 愛する夫に先立たれたアナは10年経って、やっと旧知の男性と再婚する気持ちになったが、そんなアナの前に<夫の生まれ変わり>と主張する少年が現れ、忘れられない想いが蘇り……輪廻をめぐる異色ミステリー!…

堤幸彦監督『明日の記憶』(2005年)

涙を売り物の映画は好きでないので、この作品は気になっていながら、手がのびませんでした。しかし、DVDで借りてみた『明日の記憶』は、とてもいい映画でした。過剰に涙を要求する場面もありません。アルツハイマーで、記憶が壊れていく怖さを、改めて痛感し…

絲山秋子『沖で待つ』

オリーブマニアさんのブログを見て、絲山秋子(いとやま・あきこ)の『沖で待つ』を読みました。 登場人物の男女二人は、新人として同期に入社。一緒に福岡営業所へ配属されます。この二人の中に生まれる奇妙な連帯感が、この作品の主題です。二人が入社した…

レンタルで見た映画はもう1つでした

久しぶりにレンタル屋さんへいって、2本映画を借りました。1つは河崎実監督『日本以外全部沈没』。昨年見た新しい『日本沈没』が、タメ息が2つ3つ連続するような問題作だったので(笑)、その口直しとして、パロディに少し期待しました。しかし、新版『日…

初映画のはずが、「たきおか」へ(笑)

今日は、今年はじめての名画座参りをしようと、朝からギンレイ・ホールにでかけましたが、お目当ての『記憶の棘』(ニコール・キッドマン主演)と『ブラック・ダリア』(スカーレット・ヨハンソン出演)は1日ちがいで明日から上映。1日の構想がもろくも崩…

恩蔵茂氏の「ビートルズが来た!」を読んで(2)

ビートルズの日本公演は、ふしぎなことに日本の興行側からの要請ではなく、ビートルズ側からの希望でした。ブライアン・エプスタインから、極東ツアーの折り、日本にも行ってみたいという話があり、これまで外国ミュージシャンにもっとも信頼の厚い興行主永…

恩蔵茂氏の「ビートルズが来た!」を読んで(1)

【注】:2003年3月の投稿記事を一部修正してそのまま掲載しております。 1週間くらい前に次回恩蔵茂氏の「ビートルズが来た!」という文(ビートルズ・クラブ会報誌に連載)がおもしろいので、そのハイライトをご紹介しますって予告編を申しましたが、なかな…

1966年ビートルズ来日のころについて

mixi版「ビートルズ探検隊」で、「smokyさん(わたしのハンドル・ネーム)の体験記も、再録させていただきたい」と管理人のJ暖簾さんにいわれました。メーリングリストへの古い投稿(2003年3月)なので、探すまでに時間がかかりましたが、やっと見つかりまし…

溝口健二監督『祇園囃子』(1953年)

『祇園の姉妹』や、のちの『赤線地帯』へ引き継がれる、色街に生きる女性たちのものがたり。美しい芸妓の世界を描きながら、溝口健二の眼は、厳しいリアリズムで貫かれています。 人気芸妓の美代春(木暮実千代)は、生活のために芸妓を志望する少女栄子(若…

溝口健二監督『祇園の姉妹』(1936年)

BSの放送では香川京子の短い作品解説が最初につきますが、そこでは「ぎおんのきょうだい」とタイトルを読んでいたようです。「姉妹」の読みは「きょうだい」でよいのでしょうか。古風な色街のなかで、零落した男への愛情を失わない姉梅吉(梅村蓉子 )と、男…

成瀬巳喜男監督『秋立ちぬ』(1960年)

昨年12月、川本三郎著『銀幕の東京』(中公新書)という本を読んだら、これがとにかくたのしい。川、都電、看板、狭い路地など……東京オリンピックの都市改造によって失われてしまった「懐かしき東京」を、昭和20〜30年代の映画のなかに発見していこうという…

映像の初詣は、やっぱりポール・マッカートニーでございます

正式タイトルは、『ライヴ・イン・ザ・US 2005〜THE SPACE WITHIN US〜』。去年購入して、急いで1回見ましたが、あわただしくてじっくり見れずにおりました。それで、お正月の第一弾に見る映像は、文句なしにこのポール・マッカートニーのライヴDVDと決めて…

元旦にジェイムス・ブラウンを聴く!

新年の最初にクルマの中で聴いたのは、ジェイムス・ブラウンのアルバム『Ballads』でした。ビートルズよりもジョージ・ハリスンよりも、最近もっぱら聴いているビーチボーイズよりもこの日は先に聴きました。彼の死をラジオで聞いて、「ああ、JBのライヴをつ…

新しい年になりました

みなさん、明けましておめでとうございます。ご無沙汰しておりましたが、これから少しずつブログのカンをとり戻していきたいとおもっております。今年は穏やかなお正月ですね。これから実家へ帰って、お酒を飲もうとおもっています。そして、3日に家にもどっ…