かぶとむし日記

映画、音楽、本の感想を中心に日記を更新しています。

2007-01-01から1年間の記事一覧

久松静児監督『南の島に雪が降る』(1961年)

原作:加東大介 脚本:笠原良三 出演:加東大介、伴淳三郎、有島一郎、西村晃、桂小金治、渥美清、小林圭樹、三木のり平 昭和十九年秋、太平洋戦争下の西部ニューギニアの首都マノクワリにある日本軍は補給を絶たれ四万の兵士は飢餓とマラリヤにやられ七千に…

川島雄三監督『花影(かえい)』(1961年)

配給:東宝 原作:大岡昇平 脚色:菊島隆三 出演:池内淳子、佐野周二、池部良、有島一郎 長年銀座の女給をつとめ、多くの男性に愛されながら、しかし結果男に裏切られていく、どこかお人好しな、ひとりの女の生きる姿を描く。 以前tougyouさんが『花影』の…

市川を歩く(11月3日)

会社のDさんから、「市川を一緒に歩きませんか」といわれていた。Dさんの家は、京成線の国府台(こうのだい)にある。 それをいわれたのは春だったが、Dさんとは休みがあわず、そのまま夏になり、「涼しくなったらぜひ」といわれ、それが、突然11月3日に決ま…

朝の上野、歓楽街を歩く

一週間ほど前(10月末)、早朝の上野歓楽街を歩いた。 自分で歩く時は、たいてい本郷からでたらめに路地をぬけて、湯島天神へ寄り、石の段々を下り、不忍池に沿って、アメ横から上野駅に出る。30分ほどのコースだ。 この日は同行しているIさんの要望で違う…

カルロス・ソリン監督『ボンボン』(2004年)

制作:アルゼンチン 脚本:カルロス・ソリン 出演:ファン・ビジェガス、ワルテル・ドナード、犬のグレゴリオ あるところについていないオジサンが居りました。20年まじめに勤めたガソリンスタンドをクビになり仕事がありません。ある日人助けのお礼に大きな…

リンゴ・スター『フォトグラフ:ザ・ヴェリー・ベスト・オブ・リンゴ・スター』

[rakuten:book:12094772:image] ■ドラマー、リンゴはすばらしいのだ!! むかしむかしぼくが「リンゴのドラムっていいよね」って、いっても、誰も賛同してくれませんでした。いまはどうでしょうか。ビートルズ・ファンのなかには、「リンゴのドラムを見損ね…

ペドロ・アルモドバル監督『ボルベール(帰郷)』

コレクターズ・エディション [DVD]" title="ボルベール コレクターズ・エディション [DVD]" class="asin"> 制作:2006年/スペイン 出演:ペネロペ・クルス、カルメン・マウラ、ロラ・ドゥエニャス 「今もっとも自由で独立した映画監督」と言われるペドロ・ア…

コリーヌ・セロー監督『サン・ジャックへの道』

制作:2005年/フランス 出演:ミュリエル・ロバン、アルチュス・ド・バンゲルン、ジャン=ピエール・ダルッサン ストレスで薬に依存している兄ピエール、頑固なオバサン教師クララ、アルコール漬けで文無しの弟クロード。険悪な仲の兄姉弟が、亡き母の遺産を…

吉田修一『初恋温泉』(集英社)

[rakuten:book:11870393:image] 『初恋温泉』は短編集。以下の5編が収録されている。、 「初恋温泉」……(熱海「蓬莱」) 「白雪温泉」……(青森「青荷温泉」) 「ためらいの湯」……(京都「祇園畑中」) 「風来温泉」……(那須「二期倶楽部」) 「純情温泉」………

佐藤忠男『映画の中の東京』(平凡社ライブラリー)

[rakuten:book:11043889:image] タイトル通り、映画に描かれた東京をさまざまな角度から検証している。佐藤忠男は、独学で、映画を学んだひと。理に走る映画評論家ではないので、文章は読みやすい。1988年7月に講談社から発売されたものを加筆・訂正したもの…

とうとうジュリアと会えました!!(10月12日)

我孫子の白樺文学館へいくので、時間があえばお会いできませんか、とringoさんに連絡したら、病み上がりなので体調次第で、ということでした。熱は下がったが咳が出る、というのでムリだろう、とおもっていましたが、だいぶ回復してきた、というので1時間ほ…

森田芳光監督『サウスバウンド』を見る。

原作:奥田英朗 出演:豊川悦司/天海祐希/北川景子/田辺修斗/松本梨菜 「税金など払わん、学校へなんか無理に行かなくていい。文句があるなら国民辞めちゃおー」子供の迷惑顧みず、ハチャメチャでブッとんだ大人が目前の“悪”に向かって突進する。すべてを捨…

荻上直子監督『めがね』(上映中)

脚本:荻上直子 出演:小林聡美、もたいまさこ、光石研、加瀬亮、市川実日子、ケン(犬) 春。旅人・タエコ(小林聡美)がたどり着いたのは、透明感あふれる日差しと爽やかな風が心地よい海辺の町。渚をゆっくり、ゆっくり歩いた先には、奇妙な懐かしさをた…

読売新聞大阪社会部『戦犯』を読む。

jinkan_mizuhoさんが、こちらのブログで詳しく紹介してくださった本です。 ■BC級の戦犯とは? 【注】B級=国際法に反して非占領国の住民を虐待、殺害した容疑。C級=政治、人種、宗教的理由で殺害、迫害をした容疑。 (本書より。以下引用は同じ) 捕虜や住民…

ルキノ・ヴィスコンティ監督『若者のすべて』(完全版)

制作:1960年/フランス、イタリア 出演:アラン・ドロン / アニー・ジラルド / レナート・サルヴァトーリ / クラウディア・カルディナーレ / カティナ・パクシノウ イタリア南部で暮らす貧しい一家。ミラノで働く長男を頼り一家は街に引っ越す。次男シモーネ…

荻上直子監督『かもめ食堂』(2006年)

原作:群ようこ 脚本:荻上直子 出演:小林聡美、片桐はいり、もたいまさこ、マルック・ベルトラ フィンランド、ヘルシンキの街角でオープンした小さな食堂。主は日本人女性のサチエさん。メインメニューはおにぎり。でもお客さんはなかなかやってきません。…

「文豪・夏目漱石〜そのこころとまなざし」(9月26日、両国を歩く)

■旧安田庭園〜東京都慰霊堂〜相撲博物館 やっと涼しくなったので、Kさんと両国を散歩する。最大の目的は、きょうからはじまる江戸東京博物館の「文豪・夏目漱石〜そのこころとまなざし」。漱石のこうした企画は意外に少ないので、見逃せない。 旧安田庭園(…

溝口健二監督『武蔵野夫人』(1951年/東宝)

原作:大岡昇平 脚本:依田義賢 出演:田中絹代、轟夕紀子、森雅之、片山明彦、山村聡 両親の財産を守りながら暮す道子は、俗物の夫と暮していた。そこへ従弟の勉が復員してきて居候をはじめる。やがて道子と勉との間に愛が芽生え……。当時のベストセラー、大…

溝口健二監督『噂の女』(1954年/大映)

脚本:依田義賢、成沢昌茂 出演:田中絹代、久我美子、大谷友右衛門、新藤英太郎 京都の色街・島原で置屋兼茶屋を女手ひとつで経営する母と、店でかかえる太夫たちに同情しながらもその商売を嫌う娘との葛藤を描く。のちに監督業に進出した田中絹代は、本作…

リチャード・エアー監督『あるスキャンダルの覚え書き』

[rakuten:es-toys:10104821:image] 制作:2006年/アメリカ映画 原作:ゾーイ・ヘラー 脚本:パトリック・マーバー 出演:ジュディ・デンチ、ケイト・ブランシェット ベテラン歴史教師のバーバラは新任の若い美術教師シーバに親近感を覚えるが、シーバの教え…

イニャリトゥ監督『バベル』

[rakuten:book:12101665:image] 制作:2007年/メキシコ映画 監督:アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ 出演:ブラッド・ピット、ケイト・ブランシェット、ガエル・ガルシア・ベルナル、菊地凛子 モロッコの片隅で放たれた一発の銃弾がアメリカ・日本の…

沢田順介監督『毬の行方』(1930年、無声映画)

原作:佐藤紅緑 撮影:久山義遠 出演:山口定江、筒井徳二郎、佐々木美代子 活弁士:松田春翠 貧しい馬方の娘として生まれた一子(かずこ)が、度重なる不幸な境遇を暖かい友情と恩師の励ましで乗り越え、力強く生きて行く様を描いている。 現代では失われて…

Sさん夫妻、熊谷へくる(9月16日)

千葉に住んでいて、いまは秋田に単身赴任しているSさんが、奥さんと遊びにくることになっていた。 15時川越駅へSさん夫妻着く。そのままクルマで熊谷へ向かう。途中、吉見観音を見物。静かな何もないところにある寺だが、巡礼者が何人か参拝していた。 ■吉見…

溝口健二監督『女優須磨子の恋』(1947年/松竹)

原作:長田秀雄 脚本:依田義賢 出演:田中絹代、山村聡、小沢栄太郎 女優・松井須磨子と、文学者で新劇運動の先駆者、そして妻帯者であった島村抱月の悲劇的な恋。当時の舞台劇の再現を豊富に盛り込みながら、自由恋愛に対する偏見や重圧に挑んだ須磨子の姿…

溝口健二監督『夜の女たち』(1948年/松竹)

原作:久坂栄二郎 脚本:依田義賢 出演:田中絹代、角田富江、高杉早苗 瓦礫の風景が残る戦後間もない大阪新世界を舞台にパンパン(街娼)の群れをリアリズムで描き当時大ヒットした。トップスター田中絹代がパンパンに転落した戦争未亡人という汚れ役を熱演…

溝口健二監督『マリヤのお雪』(1935年/松竹)

原作:川口松太郎 脚本:高島達之助 出演:山田五十鈴、原駒子、夏川大二郎 モーパッサンの「脂肪の塊」を川口松太郎が翻案。西南戦争のさなか、町を出るため名士を乗せた馬車には酌婦のお雪たちも乗り合わせていた……。溝口作品としては珍しく銃撃戦が描かれ…