かぶとむし日記

映画、音楽、本の感想を中心に日記を更新しています。

2010-01-01から1年間の記事一覧

荻上直子監督『バーバー吉野』(2003年)

『かもめ食堂』で荻上直子(おぎがみなおこ)監督を知り、それからファンになって『めがね』と、最新作の『トイレット』を見たけれど、まだこの『バーバー吉野』を見ていなかった。 なぜもっと早く見なかったのだろう、ということだけれど、この映画が荻上直…

山田洋次監督『男はつらいよ 知床慕情』(1987年)

先日仕事の関連で知床へ旅行したので、久しぶりに寅さんの「知床慕情」を見てみる。 マドンナは竹下景子、その父親役で三船敏郎が出演している。 三船敏郎は、北海道の、頑固な獣医役。竹下景子は三船に反対された男と駆け落ちして東京へいったものの、結婚…

メナン・ヤポ監督『シャッフル』(2007年)

ある日突然、警官がやってきて、妻に「あなたのご主人が事故にあって、亡くなりました」と告げる。 ショックで心の整理もつかない妻だが、翌朝、起きて台所へいくと、死んだはずの夫が、いつものようになにごともなく、テーブルにすわっている。 一体、なに…

家庭内暴力を素材にしたサスペンス〜『夜行観覧車』

映画化もされて話題になった『告白』で、鮮烈にデビューした、湊かなえの新作。前作は、いじめや家庭内暴力が複合的にまじって構成されていたけれど、今回は家庭内暴力が中心。 「一戸建ての家を持ちたい」・・・そんなふつうのサラリーマン家庭の主婦の願望…

今年は、日本映画のあたり年?〜映画『悪人』(上映中)

李相日(リ・サンイル)監督『悪人』。原作は、吉田修一。 観客をグイグイひっぱっていく力強い作品です。いい映画というのは、冒頭から映像がみなぎるような緊迫感で観客を圧倒してくるものですけど・・・それが実感できるはじまりでした。 深津絵里がモント…

ジョージ・ハリスンへの想いは果てなく・・・

ジョージ・ハリスンの人間性、つくる音楽、声、ギター・・・すべてが大好きだ。ビートルズ時代はもちろん、ソロになってからも、ずっと敬愛し続けている。 最近、ジョージ・ハリスンのソロ・アルバムをまとめてMP3に焼いて、それをクルマで聴いている。何度…

成瀬巳喜男監督『女の歴史』(1963年)

現存する成瀬巳喜男作品は、失敗作も含めて全部見たい、とおもっている成瀬映画のファンだから、まずはこの作品も見られてよかったです。 そのうえでいうわけですけど、<女の半生>を描く、というような、大時代ドラマは、成瀬巳喜男の作風にあってないよう…

予想を上回るすてきな作品〜『トイレット』

銀座テアトルシネマへ、荻上直子(おぎがみ・なおこ)監督『トイレット』を見に行く。 有楽町線の銀座1丁目駅から歩いて2分ほど。 映画をやっているのは、建物の5Fだが、1Fのエレベーターの前に列ができていたので、ひるんだ。 全部が5Fの『トイレット』…

篠崎誠監督『東京島』(上映中)

先の日曜日に見てきました。原作も、おもしろかったですけど、映画も楽しめました。 桐野夏生の原作に忠実につくられています。ほとんど違和感がありませんでした。映画を新鮮に楽しみたいなら、原作はあとで読んだほうがいいかもしれませんね。 40歳を過ぎ…

成瀬巳喜男監督『はたらく一家』(1939年)

プロレタリア文学の作家、徳永直が原作。 映画をみたついでに、原作を読もうとおもい、地元の図書館で検索してみても、ひっかかってこない。いまも原作を探している。 ★ 昭和10年代の不況が背景。 父と長男が働き、母も内職をしてるけれど、一家の生活は厳し…

貴田庄著『原節子 あるがままに生きて』

現役時代の映画雑誌などに掲載された、原節子本人の言葉や、彼女を直接知るひとたちの証言を引用しながら、原節子の生涯をたどっていきます。 文字量、情報量からいえば、以前読んだ、千葉伸夫著『伝説の女優原節子』 のほうが圧倒的なので、詳しく知りたい…

木下恵介監督『野菊の如く君なりき』(1955年)

tougyoさんと知り合うきっかけにもなった作品。久しぶりに見て、また感動する。 墨絵をみるような画面の美しさは、子どものころ見たときよりも、さらに深く感銘を受けた。 この映画を見る限りでは、木下恵介は小津、成瀬、黒澤に匹敵する名監督だとおもう。…

黒野伸一作『万寿子さんの庭』

先日、71歳の遠い親戚のおばあちゃんと同居する20歳の娘の関係を、淡々とした筆致で描いた、青山七恵作『ひとり日和』を読んだばかりだけど、こちらも、20歳の娘・京子と、近くに住む変わり者のおばあちゃん(78歳)の交流を描く。 朝、「おはようございます…

小林義則監督『きな子 〜見習い警察犬の物語』(上映中)

川越から近い、南古谷の映画館で見る。先日DVDで『マーリー 世界一おバカな犬が教えてくれたこと』を見たけれど、今日の映画も、あんまり警察犬の素質に恵まれているとはいえない、ドジな<見習い警察犬>を主人公にしたものがたり。 犬が主人公の映画は…

デイビッド・フランケル監督『マーリー 世界一おバカな犬が教えてくれたこと』(2008年)

『プラダを着た悪魔』のデイビッド・フランケル監督が贈る、泣いて笑って胸いっぱいのハートフル・コメディ!子育ての予行演習のために犬を飼うことにしたジョンとジェニーの新婚夫婦。ところが、マーリーと名付けられたラブラドールレトリバーの子犬は、手に…

クリストファー・ノーラン監督『インセプション』(上映中)

妻の運転で、南古谷の映画館へ、午前9時15分からの『インセプション』を見にいく。 予感はあったが、裏切ってほしい、という期待もあった。けれど、最初の20分で、もういやになる。 これほどひどいとは、おもわなかった。 最近見た映画では、ワーストを「踊…

竹内浩三「骨のうたう」

先日、ラジオ深夜便で、『ぼくもいくさに征くのだけれど―竹内浩三の詩と死』の著者、稲泉連氏が出演して、竹内浩三の話をしていた。 稲泉連氏は、いまから5年前、23歳のとき、この著書を書いている。現代を生きる23歳の眼が、23歳で戦死した、戦時中のひとり…

青山七恵作『ひとり日和』

高校を卒業した若い女性・知寿と71歳の女性・吟子さんの<共同生活>を淡々と描いた作品だ。 両親は離婚していて、知寿は母と暮らしていた。 その母が仕事で中国へいくことになり、残された知寿は、遠い親戚の吟子さんの家で暮らすようになる。 主人公の知寿…

ドン・シーゲル監督『ダーティハリー』(1971年)

アクション映画が好きでない、という単純な理由でこの映画を見たことがありませんでした。 でも、近年クリント・イーストウッド監督の作品を見る機会が多くなり、監督としても、俳優としても、段々に興味が出て、見逃してきたむかしの作品も、見たくなりまし…

ロキシー・ミュージックと今野雄二氏

今野雄二氏が66歳で自殺した。ぼくは、今野氏のことをほとんど知らないけれど、彼がロキシーのことについて、厚意をもって書いていたのは、記憶している。 ぼくも好きなバンドだったから、自然と文章に目がいったのかもしれない。 ★ ●「モア・ザン・ディス」…

23年ぶりの中学校同窓会(7月25日)

午前中、北品川にある品川クリニックで、健康診断。9時から始まるのを、正午から熊谷の同窓会があるので、間に合うようにと、8時半の早めに着いたら、すぐにやってくれて、あっというまに終わった。 ★ 北品川は、むかし東海道へ旅するときの最初の宿場町で、…

平山秀幸監督『必死剣鳥刺し』(上映中)

朝8時11分、極貧荘の近くのバス停から、赤羽駅西口行きのバスに乗る。 久々の立呑み「いこい」、午前8時50分。 いつもカウンターが満席なのに、奥にあいてる場所があったので、そこへ立って、カウンターの中のサイトウさんに、あいさつする。 この時間帯は、…

バッドカンパニーがやってくる!

ポール・ロジャース(ボーカル)、サイモン・カーク(ドラムス)、ミック・ラルフス(ギター)・・・3人のオリジナル・メンバーを含むバッドカンパニーが来日する。 ★ ディープ・パープル時代、イアン・ギラン脱退のあと、リッチー・ブラックモアがボーカリ…

吉田恵輔監督『さんかく』を見る。

『純喫茶磯辺』の監督作品なので、ある程度期待して見にいく。35度以上の炎天下を池袋まで出るのだから、生半可の気持ちでは見にいけない(笑)。 チケットを買って、まだ時間があったので、少し池袋の町を歩いた。適当なコーヒーのお店があれば、涼しいとこ…

山田洋次監督『男はつらいよ 寅次郎夢枕』(1972年)

シリーズ10作目。マドンナは、八千草薫。48作つくられたなかで、10作目だから、いまから見れば、まだ初期の作品といっていい。 八千草薫演じる美容師は、寅さんのむかしの同級生。同級生の気楽さから、二人のあいだに親しさが復活するが、それがいつものとお…

ストーンズ〜オルセー美術館展〜立呑み「たきおか」・・・真夏の散歩

久しぶりに町歩きをしようと、午前10時過ぎ、極貧荘を出る。 東上線で池袋駅へ出て、池袋の北口を散歩。本で見て、一軒寄ってみたい食堂(酒も飲める)があったので、場所を探す。駅から5〜6分でみつかったが、11時からの開店で、閉まっていた。 日差しが強…

阿部軍治著『白樺派とトルストイ』

おもしろく読んだので、記録しておきます。 副題に「武者小路実篤・有島武郎・志賀直哉を中心に」とあるとおり、トルストイが3人の白樺派作家に、どんな影響を与えたか、について、ていねいに論じている。 有島武郎(ありしま・たけお)の、北海道狩太村の…

本広克行監督『踊る大捜査線 the movie 3』(上映中)

テレビシリーズの再放送を見てから、このシリーズのファンになった。映画化になってからも、劇場で見ている。 でも、映画化はどれもおお味で、テレビで見たときの新鮮さはない。お金をかけただけ、ドラマとしてのリアリズムが希薄になってしまっている。 第3…

リンゴ・スターは、70歳!

私事で、しばらくブログを更新できませんでしたが、やっぱりまずこれをアップしとかなきゃね(笑)。 バリバリに元気なリンゴが、7月7日で、70歳。わたしも同じ7月生まれ(日にちは違うけど)。それが、ビートルズを知ってからずっとひそかな自慢になってい…

ジョージ・ハリスンの伝記映画公開は・・・?

ずっと気になっているマーティン・スコセッシ監督が撮っているジョージの伝記映画の新しい情報が、ビートルズ・クラブの会報誌『The Beatles』7月号に載っていた。 このジョージのドキュメンタリー映画『LIVING IN THE MATERIAL WORLD』は、現時点(5月)で…