かぶとむし日記

映画、音楽、本の感想を中心に日記を更新しています。

日本映画

新藤兼人監督『石内尋常高等小学校 花は散れども』(2008年)

石内尋常高等小学校 花は散れども [DVD]出版社/メーカー: バンダイビジュアル発売日: 2009/06/26メディア: DVD購入: 1人 クリック: 28回この商品を含むブログ (11件) を見る 温情の厚い小学生教師(柄本明)と教え子たちとの長い年月の交流を描いた新藤兼人…

吉田大八監督『パーマネント野ばら』(2010年)

パーマネント野ばら [DVD]出版社/メーカー: デイライト発売日: 2011/01/07メディア: DVD購入: 2人 クリック: 87回この商品を含むブログ (109件) を見る 離婚したなおこ(菅野美穂)が、一人娘ももをつれて、海の見えるふるさとへ帰ってくる。 仲のよかったお…

深川栄洋監督『白夜行』(上映中)

仕事がおわった2月5日の朝、午前8時35分からの初回上映を、極貧荘のある東武練馬の映画館へ見にいく。さすがにこの早い時間から見る観客はすくなかった。 昭和55年から平成10年までの19年にわたる壮絶なドラマを、時代考証に基いたリアリティあふれる映像で…

市川崑監督『おとうと』(1960年)

おとうと [DVD]出版社/メーカー: 角川エンタテインメント発売日: 2007/09/28メディア: DVD購入: 1人 クリック: 92回この商品を含むブログ (41件) を見る 山田洋次監督の『おとうと』が、この作品にインスピレーションを受けて制作された、というので、見る。…

熊切和嘉監督『海炭市叙景』(上映中)

東京では渋谷ユーロスペースの単館上映なので、ひさしぶりに渋谷へ。 ひとの流れをかきわけるようにして、東急本店横から少し路地へはいった、ユーロスペースへいく。 ★ 海炭市は、架空の街だが、撮影はすべて函館でおこわなれたようだ。函館市民の全面的な…

吉田恵輔監督『さんかく』(2010年)をもう一度見た

昨年、夏の異常な暑さのなかを歩き、池袋の映画館で見たのを思い出す*1 今度は冬、妻がDVDをレンタルしてきたので、見る。 ★ この作品、登場人物の心の動きをていねいに描いているので、おもいがけぬ傑作だ、というのが最初に見た印象だったが、DVDで…

成瀬巳喜男監督『山の音』(1954年)を見直す

去年の秋、紅葉を見に新宿御苑を散歩したころから、もう一度『山の音』を見直したい、という気持ちが強くなった。 その前は、山村聡の家の玄関から奥に見える山がセットであることにおどろき、そう見えなかったし、着物を着た女性が、その小山へ登っていくシ…

成瀬巳喜男監督『秀子の車掌さん』(1941年)

tougyouさん、ありがとうございます。『秀子の車掌さん』最後まで見ることができました。以前池袋の新文芸座で見ましたが、ずいぶん時間も経っているので、新鮮でした。 少女時代の高峰秀子が、子役からずっと芸能生活を続けているとはおもえないほど、初々…

高峰秀子さんが亡くなったんですね・・・

tougyouさんのブログを見て、知りました。 早々と映画界を引退してひさしく、夫松山善三氏とともに静かな生活を楽しんでおられるものとおもっていましたが、2011年を知らずして、亡くなられたんですね。 「葬儀は一切無用」の遺言があったとか。高峰秀子らし…

博の故郷と寅さんの実母〜「男はつらいよ」の素朴な疑問

『男はつらいよ 純情篇』、『続男はつらいよ』を見ると、さくらの夫・博は、北海道から東京へ上京して困っているところを、朝日印刷のタコ社長に救われて、そこで働くことになった、と説明されている。 しかし、その後のシリーズを見ていくと、博の両親は、…

猪股隆一監督『書道ガールズ!!わたしたちの甲子園』(2010年)

上映中見そびれてしまったので、DVDをレンタルしてみる。映画としては、おもしろいところと粗いところとどちらも感じた。 部活の顧問になる男の先生などは、類型的で、先の変化も見えてしまう。 書道パフォーマンスのシーンは、個人的には迫力があって、…

杉田成道監督『最後の忠臣蔵』(上映中)

最近の優れた時代劇には、新鮮な魅力を感じる。この映画も、刀と刀の切り合いは、少ない。少なくも、それが見せ場ではない。 監督は、討入りのあと、大石蔵助の使命を受けて生きながらえた、武士のストイックな内面を、彫深く描くことに焦点をあてている。 …

森田芳光監督『武士の家計簿』(上映中)

12月4日、紅葉見物にいくか、『武士の家計簿』の初日を見にいくか、迷ったあげく、両方見ることにした。 池袋で10時30分から『武士の家計簿』を見る。 下級武士の生活を描いたものとしては、山田洋次監督『たそがれ清兵衛』や是枝裕和監督『花よりもなほ』が…

三城真一監督『引き出しの中のラブレター』(2009年)

これだけ甘ったるく、センチメンタルな映画を見せられると、からだじゅうがかゆくなってくる。 この映画のファンから、こういう美しい映画が感動できなくなったのは老化の徴(しるし)ではないの・・・といわれたら、たしかに、そうなのかもしれない。 こう…

松本佳奈監督『マザーウォーター』(上映中)

「かもめ食堂」「めがね」「プール」など、人と場所との関係をテーマにした作品を撮り続けてきたプロジェクトが、豊かな水の流れを持つ街・京都を舞台に描いた人間ドラマ。ウイスキーしか置かないバーを営むセツコ、コーヒー店を開いたタカコ、豆腐屋のハツ…

緒方明監督『のんちゃんのり弁』(2009年)

小泉堯史監督の『阿弥陀堂だより』(2002年)で、可憐な少女を演じた小西真奈美が、小さな女の子のいる若い母を演じている。 生きることに不器用な一児の母が、愚図な夫と離婚して、弁当屋開業を決意するまでの、小さな奮闘記。 倍賞美津子、岸辺一徳などの…

三木孝浩監督『ソラニン』(2010年)

好きな女優のひとり、宮崎あおいが主演なので、見てみました。 でも、スジがあんまりに青臭いし、音楽が重要なポイントを占める映画なのに、そのメインテーマの音楽がわたしには、全然心に響いてこないので、退屈でした。

三池崇史監督『十三人の刺客』(上映中)

弟から「あまりおもしろくないよ」といわれていたけど、見にいってみた。冒頭いきなり切腹シーンが長々とあって、いやになる。残酷なシーンはあまりくどく描写してほしくない。 筆頭老中土井を演じる平幹二朗が、主人公の島田新左衛門(役所広司)に、暴君の…

緒方明監督『死刑台のエレベーター』(上映中)

1957年のオリジナル作品も、比較的最近見た。オリジナル作品では、劇中に登場する若者ふたりの殺人の動機が希薄で、映画じたいも、あまりおもしろいとおもわなかった。 リメイクではどこをどう修正していくのか、という関心はあったけれど・・・かなりむずか…

問題が解決しないまま主役が死んでしまう奇妙な時代劇〜山中貞雄監督『河内山宗俊』(1936年)

山中貞雄が残した3本の映画のなかでは、『人情紙風船』、『丹下左膳 百万両の壺』とくらべると、ぼくのなかでは印象が一番薄い。 今まで2回は見ているはずなのに、筋をほとんど忘れている。記憶にあるのは、16歳の原節子の、可憐な姿だけだった。 今回も、16…

荻上直子監督『バーバー吉野』(2003年)

『かもめ食堂』で荻上直子(おぎがみなおこ)監督を知り、それからファンになって『めがね』と、最新作の『トイレット』を見たけれど、まだこの『バーバー吉野』を見ていなかった。 なぜもっと早く見なかったのだろう、ということだけれど、この映画が荻上直…

山田洋次監督『男はつらいよ 知床慕情』(1987年)

先日仕事の関連で知床へ旅行したので、久しぶりに寅さんの「知床慕情」を見てみる。 マドンナは竹下景子、その父親役で三船敏郎が出演している。 三船敏郎は、北海道の、頑固な獣医役。竹下景子は三船に反対された男と駆け落ちして東京へいったものの、結婚…

今年は、日本映画のあたり年?〜映画『悪人』(上映中)

李相日(リ・サンイル)監督『悪人』。原作は、吉田修一。 観客をグイグイひっぱっていく力強い作品です。いい映画というのは、冒頭から映像がみなぎるような緊迫感で観客を圧倒してくるものですけど・・・それが実感できるはじまりでした。 深津絵里がモント…

予想を上回るすてきな作品〜『トイレット』

銀座テアトルシネマへ、荻上直子(おぎがみ・なおこ)監督『トイレット』を見に行く。 有楽町線の銀座1丁目駅から歩いて2分ほど。 映画をやっているのは、建物の5Fだが、1Fのエレベーターの前に列ができていたので、ひるんだ。 全部が5Fの『トイレット』…

篠崎誠監督『東京島』(上映中)

先の日曜日に見てきました。原作も、おもしろかったですけど、映画も楽しめました。 桐野夏生の原作に忠実につくられています。ほとんど違和感がありませんでした。映画を新鮮に楽しみたいなら、原作はあとで読んだほうがいいかもしれませんね。 40歳を過ぎ…

成瀬巳喜男監督『はたらく一家』(1939年)

プロレタリア文学の作家、徳永直が原作。 映画をみたついでに、原作を読もうとおもい、地元の図書館で検索してみても、ひっかかってこない。いまも原作を探している。 ★ 昭和10年代の不況が背景。 父と長男が働き、母も内職をしてるけれど、一家の生活は厳し…

貴田庄著『原節子 あるがままに生きて』

現役時代の映画雑誌などに掲載された、原節子本人の言葉や、彼女を直接知るひとたちの証言を引用しながら、原節子の生涯をたどっていきます。 文字量、情報量からいえば、以前読んだ、千葉伸夫著『伝説の女優原節子』 のほうが圧倒的なので、詳しく知りたい…

木下恵介監督『野菊の如く君なりき』(1955年)

tougyoさんと知り合うきっかけにもなった作品。久しぶりに見て、また感動する。 墨絵をみるような画面の美しさは、子どものころ見たときよりも、さらに深く感銘を受けた。 この映画を見る限りでは、木下恵介は小津、成瀬、黒澤に匹敵する名監督だとおもう。…

小林義則監督『きな子 〜見習い警察犬の物語』(上映中)

川越から近い、南古谷の映画館で見る。先日DVDで『マーリー 世界一おバカな犬が教えてくれたこと』を見たけれど、今日の映画も、あんまり警察犬の素質に恵まれているとはいえない、ドジな<見習い警察犬>を主人公にしたものがたり。 犬が主人公の映画は…

平山秀幸監督『必死剣鳥刺し』(上映中)

朝8時11分、極貧荘の近くのバス停から、赤羽駅西口行きのバスに乗る。 久々の立呑み「いこい」、午前8時50分。 いつもカウンターが満席なのに、奥にあいてる場所があったので、そこへ立って、カウンターの中のサイトウさんに、あいさつする。 この時間帯は、…