かぶとむし日記

映画、音楽、本の感想を中心に日記を更新しています。

奥田英朗「真夜中のマーチ」

真夜中のマーチ
またまた奥田英朗作品です。そして、これも読み出したらやめられない。奥田作品は、登場する人物がいつもユニーク。この作中人物たちに付き合っているうちに、いつか話のおもしろさに惹き込まれてしまう。

美しくタカビーな女性、クロチェ(黒川千恵子)と、怪しいパーティ屋の青年ヨコケン(横山健司)、エリート社員のおちこぼれ三田総一郎と、これだけ揃っただけでも、読者が楽しむのに役者はこと欠かない。

さらに、事態をややこしくするフルテツという恐い恐いヤクザ、そして強欲なヤマ師白鳥などが加わって10億万円争奪戦が展開する、という賑やかなお話。

奥田英朗氏は、オリジナルで魅力的な作中人物を創造する才能に恵まれているのは、「イン・ザ・プール」や「空中ブランコ」に登場する伊良部一郎精神科医で実証済み。この作品でも、その類い稀な才能をたっぷり堪能できる。
真夜中のマーチ