かぶとむし日記

映画、音楽、本の感想を中心に日記を更新しています。

スピルバーグ監督「宇宙戦争」を見ました

スピルバーグ監督は、娯楽に徹するとおもしろい。ヒューマニズムを描くと退屈‥‥これがぼくの総合的なイメージです。しかし、「宇宙戦争」は、エンターテイメント作品としても彼のなかでは、不出来なものではないでしょうか。

宇宙人の造詣も、もう1つインパクに乏しい。凡庸な監督がつくった3流SF映画とどこがちがうのかな?

ラストの爽快感も半端。見終わって、この映画から制作者が何を観客に伝えたいのかわかりません。

むかし読んだH.G.ウエルズの「宇宙戦争」は、もっとおもしろく、読了すると地球が救われたことにほっとしたものでした。

それから、強力な敵から逃げ惑う市民の無力さをこの映画は映しますが、どこか甘い印象を受けます。放射能が万延し、焼け爛れた被爆者が同じように逃げ惑っていた広島・長崎の体験を知る近代は、ウエルズの原作を過去のものにしました。中途半端な現代版「宇宙戦争」が、あまりに前近代的におもえてしまうのはそのへんの歴史を無視しているためでしょうか。

スピルバーグ監督が「これは娯楽映画だよ」というのなら、それはそれでいうことはありません。

独断採点=50点