かぶとむし日記

映画、音楽、本の感想を中心に日記を更新しています。

マーティン・スコセッシ監督「ノー・ディレクション・ホーム」

ノー・ディレクション・ホーム:ザ・サウンドトラック
先に携帯から投稿したように、12月24日「シアターN渋谷」で、見てきました。先にringoさんが、2005年11月24日11月26日に、映画の内容を投稿してくださっているので、公開されるのを心待ちにしておりました。

【注】写真は、映画のサウンドトラックです。


ボブ・ディランとフォーク・ファンの激闘!

野次るフォーク・ファンと、ステージで笑いを浮かべながら、「でかくやろうぜ!」とバンドに呼びかける、不敵なディラン……息をのむような両者のやりとりが映像には映されています。ディランが、フォークからロックへ移行したときのファンの怒りはすでに伝説化されていますけど、現実は、想像していたよりも、激しいものだったようです。

ファンというのは、自分のひいきは、いつまでも、いまのままでいてほしい、とどこかで思っているのではないか。ボブ・ディランは、その保守性を切り裂いたわけですけど、実際に映像で見て、これほど双方に激しいやりとりがあったとは……ちょっとびっくりしました。映画は、ディランとファンの激闘を執拗に描きます。

アメリカだけではなく、イギリス公演でも、「裏切り!」、「ゴミ!」、「商業主義に身を売った」、「ユダ!」というファンからの憎しみの言葉が飛び交います。それを轟音で打ち消そうとするようなディランの強烈なロック。


■ボブ・ディランのライヴの素晴らしさに酔う!

とにかく、ボブ・ディランの音楽が素晴らしい! ぼくは、ライヴ会場にいるように、大音量でスクリーンから飛び出してくるボブ・ディランの強烈な音楽に全身で酔ってしまいました。

生ギター1本を弾き語りながら歌うディランには、すでに説得力があります。あのころ、日本ではしわがれた声がなかなか受け入れられなかったようですが、こうして改めてライヴ映像で見ていると、当時のフォーク歌手のなかでも群をぬいて、ディランの存在は際立っています。

しかし、さらに圧巻なのは、バンドをバックに従えロックするボブ・ディランです。

一節一節、突き刺すような鋭い声を、ロビー・ロバートソン率いるバンド(のちに、ザ・バンドに発展する)が強烈なサウンドでサポートしていく。

フォーク・ファンとの激突の先に、ボブ・ディランは、何を見ていたのか。ディランの歌を借りれば、「友よ、その答えは私の音楽にある」……それがこの映画の主題かなあ(笑)。

【注】映画のHPは、こちらです。