かぶとむし日記

映画、音楽、本の感想を中心に日記を更新しています。

里見とんの小説

里見とんは、作品のなかで「素人間」という言葉をつかいます。言い換えれば、「まっさらな人間」ということです。人種や財産や地位や学歴、そういうものでなくて、「ひとりの人間」として、人間がどれだけのものか、そういう「素」の人間(モデルは、里見自身であることがおおい)を極めていくのが、彼の小説です。

里見とんの小説を読むと、とにかく人間としての彼の魅力につきあたります。人生の甘いも辛いも知り尽くしていながら、人間に愛想をつかさず、きれいごとをいわず、自分の名声や地位を考慮することなく、あけっぴろげに、自分を書いていく、その文章に惹かれてしまいます。里見とんのことは、もっと書きたいことがたくさんありますが……今日はこのへんで。