こちらの「角川エンタテインメント」が、この作品の内容を詳細に説明しております。これに付け加えることはあまりありませんが……。
夜な夜な繰り広げられ住職(三島雅夫)と、新しくやってきた若い妾(若尾文子)の奔放な痴態(映像では映りませんが、セリフやしぐさで暗示されます)に、修行僧の少年(高見国一)が苦しむ姿が、なんとも息苦しいほどの濃密感で表現されています。
一例ですが、、、
夜、少年のからだには縄がくくられている。これは、朝のおつとめに少年が寝坊した場合、くくられた縄を住職がひいて、少年を起床させるためである。
ある日、少年は縄をひかれてハッとする。しかし、まだ深夜で、起床する時間ではない。あわてた少年は、住職の部屋に駆け込む。「まだ時間ではありませんが」。「おお、間違いだ」と住職。
縄がひかれたのは、情事に夢中になった若い妾が、誤って足を縄にひっかけてしまったためだ、ということがわかる。若尾文子のセリフがいい。「わたし乱れちゃって……」。ボソッと、いいわけのようなひとりごとをいいながら髪の乱れを直す。
この映画を象徴するのは少年の暗い目。映画が終ってからも少年の目が印象に残ります。あとのサスペンスは付け足しのようなもの。しかし、こんな暗い映画がよく観客を集めたものだなあ。
童顔のまま妖しい色気を放つ若尾文子の魅力か。