かぶとむし日記

映画、音楽、本の感想を中心に日記を更新しています。

パトリス・ルコント監督『親密すぎるうちあけ話』(2004年フランス映画)

親密すぎるうちあけ話 [DVD]

ひょんなことから税理士を精神分析医と思い込み、赤裸々な夫婦生活を告白する女性と、成り行きのまま精神分析医を演じる男のゆらめく感情の軌跡がミステリアスな語り口で綴られる大人の愛の物語。


(略)


パリのとあるビルの一室にオフィスを構える孤独な税理士ウィリアム。ある日、そのドアを美しい女性アンヌがノックする。戸惑いながらも部屋へ招き入れるウィリアム。するとアンヌはおもむろに夫との性生活の悩みを打ち明け始めるのだった。彼女は同じフロアにあるモニエ医師の診療室と間違えて入ってきてしまったのだ。しかし、ウィリアムはそのことを言い出せぬまま、彼女のカウンセリングを重ねてしまうのだったが…。


<「All Cinema Online」より)


要するに、それだけの話なんです(笑)。ところが、サンドリーヌ・ボネール (アンナ)が、心の病んだ女性を演じると、なんとも素晴らしくいいのです。


以前フィリップ・リオレ監督『灯台守の恋』のサンドリーヌ・ボネールが、視線や、顔の小さな動きで、感情を細やかに表現していて、すごくよかったと書きましたが、その彼女がここでも、すばらしい演技を発揮しております。中年女性を演じる彼女がストーリーが進むにつれて、ぐんぐん美しくなっていきます。暗い顔の彼女が笑うとハッとするほど魅力的なのです。


これを受ける男優ファブリス・ルキーニ(ウイリアム)は、いつもびっくりしているような表情をしています。「そんなことをいきなり言われても困るのに」という顔、これがいいんですね(笑)。およそ気さくとは縁遠い男で、彼女に惹かれながらも、いつも慇懃な態度をくずさない、女性に馴れ馴れしいのとは反対の男です。


こういうじっくりした俳優の演技を見ていると、恋愛映画もいいなあ。二人の出会いの設定にはムリがあるような気がしますが、それに目をつぶれば極上の恋愛映画です。


(「ギンレイ・ホール」にて)