かぶとむし日記

映画、音楽、本の感想を中心に日記を更新しています。

映像の初詣は、やっぱりポール・マッカートニーでございます


ライヴ・イン・ザ・US 2005~ザ・スペース・ウィズイン・アス~ [DVD]
正式タイトルは、『ライヴ・イン・ザ・US 2005〜THE SPACE WITHIN US〜』。

去年購入して、急いで1回見ましたが、あわただしくてじっくり見れずにおりました。それで、お正月の第一弾に見る映像は、文句なしにこのポール・マッカートニーのライヴDVDと決めていました。ポール・マッカートニーのライヴ映像を見て、思うのはやっぱりこの人は凄い!(笑)。

これだけライヴの数をこなし、それを何度かビデオやDVD化しても、まだまだ初登場のヒット曲があとからあとから出てくる。膨大なヒット・ソングを持つシンガー・ソング・ライターであり、斬新なベーシストであり、元ビートルズ、元ウイングスというため息の出るような経歴をもったミュージシャンなのだ、ポールは。

ポールのライヴは今回も信じられないくらい元気で、このひとがいるので、今もぼくらはビートルズを現役として体験できることを、もっとよろこんでいいのではないか、とおもいます。ビートルズ・ファンは、生きているビートルを軽視してはいけません。人はついつい現役ビートルより、伝説をありがたがる傾向があります。伝説になってから、現役時代に軽視しすぎたことを後悔しても遅い。みなさん、来日したらポール・マッカートニーのライヴへ行きましょう(笑)


収録されているナンバーは以下の通りです。

【注】:A=ビートルズ、B=ウイングス、C=ソロ、★=今回初収録されたと思われるナンバー(多分でございます。厳密に調べておりませんので、あくまで参考程度に見てください。テレビやチャリティーなどの断片的なライヴ出演は一応除きます)

  1. マジカル・ミステリー・ツアー(A)
  2. フレイミング・パイ(C)★
  3. レット・ミー・ロール・イット(B)
  4. ドライヴ・マイ・カー(A)
  5. ティル・ゼア・ウォズ・ユー(A)★
  6. アイル・ゲット・ユー(A)★
  7. エリナ・リグビー(A)
  8. メイビー・アイム・アメイズド(C)
  9. ゴット・トゥ・ゲット・ユー・イントゥ・マイ・ライフ(A)
  10. ファイン・ライン(C)★
  11. アイ・ウィル(A)
  12. アイル・フォロー・ザ・サン(A)★
  13. グッド・デイ・サンシャイン(A)
  14. フォー・ノー・ワン(A)
  15. ヘイ・ジュード(A)
  16. フィクシング・ア・ホール(A)★
  17. ペニー・レイン(A)
  18. トゥー・メニー・ピープル〜シー・ケイム・イン・スルー・ザ・バスルーム・ウィンドー(C〜A)★
  19. レット・イット・ビー(A)
  20. イングリッシュ・ティー(C)★
  21. アイヴ・ガッタ・フィーリング(A)★
  22. フォロウ・ミー(C)★
  23. ジェニー・レン(C)★
  24. ヘルター・スケルター(A)
  25. エスタディ(A)
  26. ゲット・バック(A)
  27. プリーズ・プリーズ・ミー(A)★


Chaos & Creation in the Backyard
27曲中、12曲はライヴ初登場ですもんね。ニュー・アルバムの『ケイオス・アンド・クリエーション・イン・ザ・バックヤード』(写真左)から、「ファイン・ライン」、「イングリッシュ・ティー」、「フォロウ・ミー」、「ジェニーレン」の4曲。やや軽快な「ファイン・ライン」をのぞくと、ニュー・アルバムの楽曲は美しいナンバーばかりです。聴きなじむといいアルバムだよ、というファンの評価ですけど、ここにライヴ演奏されている曲を聴くと「なるほど」とおもいます。


ビートルズ・ナンバーでは、ビートルズが1964年に「エド・サリバン・ショー」に出演したときのオープニング・ナンバーであった「ティル・ゼア・ウォズ・ユー」が演奏されています。さらに、ビートルズのオリジナルでは、デビュー以前の古くに作曲されたといわれる「アイル・フォロー・ザ・サン*1もファンにはうれしい選曲です。

アイヴ・ガッタ・フィーリング」はジョンとポールがつくった別々の楽曲を組み合わせて1曲にしたナンバーですけど、ジョンの部分をバック・メンバーが歌うことによって、ライヴで再現しています。これは今回の演奏がはじめてじゃなかったかもしれませんが、まだまだ旬なナンバーです(笑)。

今回初お目見えのビートルズ・ナンバーの中で驚きなのは、「アイル・ゲット・ユー」と「プリーズ・プリーズ・ミー」でしょう。いずれも、どちらかというとジョン・レノンが主導的に作曲されたとおもわれる楽曲で、オリジナルではジョンがリード・ボーカルをとっています。それをポールがライヴでとりあげた!?

しかしですね。今ジョン・レノンがいない以上、共作者のポールがとりあげなかったらぼくらはこの2曲を永遠にライヴでは聴けないわけです。ポールがやらなかったら誰がやるんだよ、文句をつけるひとにはそんなことをいいたくなる、初期のビートルズ・ナンバーでございます。

Ram
ビートルズ名義のコラージュ・アルバム『LOVE』は、ビートルズ・ナンバーを切り合せ、再構成したことで賛否の意見が出ていますけど、こちらはさらに凄い。ソロ・アルバム『ラム』(写真左)の「トゥ・メニー・ピープル」とビートルズの『アビー・ロード』に収録されている「シー・ケイム・イン・スルー・ザ・バスルーム・ウィンドー」をポールは、組み合わせて演奏しています。

もっとも以前には「サージェント・ペパーズ」と「ジ・エンド」を組み合わせたこともありますから、ライヴの場合では珍しくないことで、ビートルズがもし現役でライヴをやったら『LOVE』のような構成で実際にライヴ演奏したかもしれません。とにかく、ポールのこの試みはたのしいとおもいますが、ポールは勘違いして、ソロ・ナンバーであるはずの「トゥ・メニー・ピープル」を「ウイングス・ファンに!」と紹介しているのは、愛嬌ですね。

その他、ヘヴィー・メタルの元祖ともいわれるハード・ロックヘルター・スケルター」を63歳のポールがシャウトするのは、何度聴いても心が躍りますし、美しい「アイ・ウィル」や「フォー・ノー・ワン」は、今回初めてではありませんが、まだまだライヴ演奏をされてまもない新鮮な楽曲だとおもいます。

このライヴ映像を見ていると、待たれるのはやっぱりポールの来日でございます。

*1:「アイル・フォロー・ザ・サン」=最古とおもわれるクオリーメン時代の演奏を海賊盤で聴いたことがあります。