小学生のころは、時代劇が大好き。映画といえばチャンバラでした。好きだったのは中村錦之助、大川橋蔵、大友柳太郎などで、雷蔵映画も見るには見ましたが、東映時代劇ほど頻繁ではありませんでした。雷蔵のニヒルな魅力を、小学生が理解するのはむずかしかったのかもしれません。
今回池袋の「新文芸座」で見た2本は、眠狂四郎のようなニヒルな雷蔵ではなく、はなやかなコメディ時代劇でした。
濡れ髪三度笠(1959年、カラー)
家来の謀反にあった若君(本郷功次郎)を、一匹狼のヤクザ(市川雷蔵)が守って、しかるべき地位につける、というような話。
再三にわたって命を救ってくれたヤクザの雷蔵に本郷功次郎の若君は信服。義兄弟のさかずきをかわします。権力など恐れもしない一匹狼のヤクザ市川雷蔵がすごくかっこいいぞ、といいたいけど、型どおりの任侠男であります。
おもしろかったのはラスト・シーン。無事お城についた若君だが、主君の地位より魅力なのは兄貴との友情、ってなわけで……
若君は、城主の地位を投げ捨てて、ヤクザ雷蔵を追う。
川を舟で渡り、去っていく雷蔵。「兄貴ィ〜、待ってくれ」と、土手から手を振りながら追う、若き本郷功次郎。これはどこかで見たような……はい、そうです(笑)。「男はつらいよ」の1シーンを見ているような気分になりました。