かぶとむし日記

映画、音楽、本の感想を中心に日記を更新しています。

怪奇・幻想・スペクタル、特撮映画の楽しさがいっぱいの本!

日本特撮・幻想映画全集
日本 特撮・幻想映画全集』を一気読みしました。


ぼくは小さなころから忍者もの、幽霊もの、怪奇ものが大好きだったし、世界が第三次世界大戦で、核戦争になってしまう恐怖を描いた『世界大戦争』(フランキー堺主演)で、破滅する地球に真剣に恐怖したし、死後の世界を怖れて、映画『地獄』(3作あるようですが、神代辰巳監督のものは未見)で、映像的に見られる地獄の光景にこころを奪われました。こういう妖しいものを本当に目でみることのできるのが映画の魅力の1つであるとおもっています。

  


忍者・幽霊・化け猫・怪奇幻想・特撮スペクタル・怪獣・宇宙巨編……などありとあらゆる特撮映画の写真とデータを網羅したこの本がおもしろくておもしろくて、途中でとまりませんでした。データ本として座右においておくのもいいでしょうが、ぼくは図書館で借りたので普通に本を読むように始めから最後まで流し読んでしまいました。


忍者ものでは、蝦蟇に乗った児雷也(じらいや)と大蛇丸(おろちまる)の死闘に手に汗握って、ずっと忘れていたけど、そのときの興奮を本から思い出したりして……。

  


幽霊ものでは、歴代さまざまに描かれる「四谷怪談」、「番町皿屋敷」の定番以外にもいろいろなものがありました。三遊亭円朝の原作では、「牡丹灯篭」、「怪談累が淵」も怖い怖い映画でした。お家騒動が発端、腰元がいじめ殺されて、その血をなめた愛猫が復讐する化け猫ものも、あの行燈をなめながら振り返り、「見たな」のひとことに震えあがって、猫のでんぐりがえし、戸板がくるくる回る、映画の特撮のふしぎさ。

   


怪奇・幻想への旅なら『マタンゴ』もあるし、石井輝男の人間を奇形に切り貼りしてしまう『恐怖奇形人間』も最高でした。……そのB級映画のおもしろさといったら、名画座で拍手がおきましたっけ(笑)。


古代史ものではなんといっても『日本誕生』(三船敏郎原節子出演)は、大スペクタル巨編。その他歴史的なスペクタルものでは、『釈迦』、『大魔神』(シリーズ)、『日蓮大上人』もわくわくしました。

  


幻想と妖しさを芸術にまで高めた作品もありました。寺山修司の『田園に死す』や『草迷宮』、鈴木清順の『ツゴイネルワイゼン』を見たときのおどろきは、どう表現したらいいのかわかりません。

  


子ども時代に見た懐かしいSFヒーロー「スーパー・ジャイアン」(宇津井健主演)シリ−ズ。おおもとのスーパーマンよりも、あやしい宇宙人や円盤が登場するやら、SF色が濃くて興奮しました。

ラジオ・テレビから映画化されたものでは、なんといっても一番に明智小五郎怪人二十面相が知恵をしぼりあう「少年探偵団」ですね。初代明智小五郎は、波島進でした。その他、少年ものでは「紅孔雀」、「月光仮面」、「まぼろし探偵」など……この人気シリーズは、連続ドラマのように、およそ1回が60分程度のもので、何回かにわけて、別の映画と2本立てで上映されたことが記憶にあります。

  


特撮・幻想・恐怖・SF・怪獣……1940年代から2000年代まで、あやしい映画を網羅。忘れていた記憶があざやかによみがえります。高い本なので、買うのをためらうひとは、ぼくのように図書館で借りて見てはどうでしょうか。