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DVDで新藤兼人監督の『原爆の子』を見ました。1952年公開です。原爆を投下されてから6年後の広島が舞台になっています。
瀬戸内海の島で、小学校の先生をやっている孝子(乙羽信子)は、夏休みを利用して広島へやってきます。広島はめざましく復興していますが、彼らの生活のひとつ奥にはいると、ピカは大きな爪痕を残していました。孝子は、幼稚園の先生をやっていたころの教え子の家を回って歩きながら、いまなお被爆の苦しみと闘う広島のひとびとを目撃します。
白いブラウスを着た女先生(乙羽信子=写真)が、まぶしい。戦後の復興を象徴するのは、戦場で血にまみれた男性ではなく、女性たち、それもスクリーンに登場する清潔な白いブラウスを着た女教師たちだ、と指摘したのは川本三郎氏でした。『青い山脈』の島崎先生(原節子)や、『二十四の瞳』の大石先生(高峰秀子)も白いブラウスを着ていました。
「もう二度とピカはいやだ」
登場人物のひとりがいいますが、この映画から55年経ついまも、核の恐怖はぬぐい去られておりません。