かぶとむし日記

映画、音楽、本の感想を中心に日記を更新しています。

熊井啓監督『海は見ていた』(2002年)


海の見える遊郭ってどこなのかな、って映画を見ながらおもいました。品川あたりかな、って。「goo映画」の解説を見たら深川でした。


深川と海……東京の地形にうといので、すぐに連想できませんでした。


深川の小さな遊郭で働く4人の遊女は、姉御肌の菊乃(清水美沙)をはじめ、みんなどこかお人よし。不幸を背負った男が舞い込むと、夢中に助けようとするお新(遠野凪子)を、みんなであたたかく援護する。


<人間は、もっとお互いを信頼して、幸せになれないだろうか>


そんな素朴な黒澤明のメッセージが伝わってきます。熊井啓監督らしい鋭い思想性はなく、最初から<幸福を願うお伽話>としてつくられているようにみえました。


それはそれでいいとしても、最後嵐で倒壊した屋根のうえではしゃぐ清水美沙の演出は、いくらメルフェンだとしても、少しやすっぽすぎないでしょうか。


★池袋「新文芸座」にて