海の見える遊郭ってどこなのかな、って映画を見ながらおもいました。品川あたりかな、って。「goo映画」の解説を見たら深川でした。
深川と海……東京の地形にうといので、すぐに連想できませんでした。
深川の小さな遊郭で働く4人の遊女は、姉御肌の菊乃(清水美沙)をはじめ、みんなどこかお人よし。不幸を背負った男が舞い込むと、夢中に助けようとするお新(遠野凪子)を、みんなであたたかく援護する。
<人間は、もっとお互いを信頼して、幸せになれないだろうか>
そんな素朴な黒澤明のメッセージが伝わってきます。熊井啓監督らしい鋭い思想性はなく、最初から<幸福を願うお伽話>としてつくられているようにみえました。
それはそれでいいとしても、最後嵐で倒壊した屋根のうえではしゃぐ清水美沙の演出は、いくらメルフェンだとしても、少しやすっぽすぎないでしょうか。
★池袋「新文芸座」にて