かぶとむし日記

映画、音楽、本の感想を中心に日記を更新しています。

『毛皮のエロス〜ダイアン・アーバス幻想のポートレート』(2007年)


毛皮のエロス~ダイアン・アーバス 幻想のポートレイト~ [DVD]

1958年、ニューヨーク。裕福な家庭に育ったダイアン・アーバスは、ファッション・カメラマンである夫アランのアシスタントとして働きながら、心の中には常に自分のいる世界に居心地の悪さと不安を感じていた。そんなある日の夜、ダイアンは隣に越してきた、マントで全身を覆い、マスクを被った男・ライオネルの異形に激しく心を奪われる。そして意を決し、カメラを手に彼の部屋のベルを鳴らす……。


(「goo映画」解説より)


著名な写真家の夫と、かわいい子供たちに囲まれた、ダイアン・アーバスニコール・キッドマン)は、家族と暮らし、夫の写真の助手をすることで日々が満たされていると自分ではおもっていた。


しかし、二階に越してきた多毛症の男になぜか興味を惹かれ……男の部屋を訪ねるうちに、異形の世界、世の中の闇の世界に心をひらいていく。


★   ★   ★


タイトルから官能的な映画を想像してしまいます。でも、そうではないんですね。ニコール・キッドマンの美しさは十分官能的ですが、この女性主人公は、平穏な日常からは覗うことのできない異形の世界がこの世の中に存在することに気づき、のめりこんでいくんです。彼女は、そのために夫と家族から遊離し、代償に、自分の写真世界を発見していきます。


新装版「人形の家」、ノラの再出発の物語かもしれません。