東北の奥に新しい開拓村が発売され、脱サラなどをした人たちが、ここへ入植してきたが、ここの土地は、不毛で、何も作物を育てることができなかった。入植者たちは、あきらめ、やがて去っていったが、最後まで残ったのが、大竹しのぶと伊藤歩の母娘。
髪はのび放題、顔は真っ黒。顔も判別できないような暮らしをしていたが、ある日決断する。
二人は、風呂へはいって、髪を整え、唇に紅を塗る。まず母が、そして娘が、売春をはじめた。売春で男からお金をもらうと、その男を、酒に含ませた農薬で殺す。
殺害するのは、むかし自分たちを騙した、この村のひとたちへの復讐なのか、ただお金が必要なためなのか。
次々と欲望に飢えた男を農薬で殺した母娘は、まとまったお金を得て、さっさと村を出ていく。駐在と役所が、ゆくえ不明の人間が続出しているので、無人になった家を探索してみると、彼らの死体が続々発見される、というブラック・コメディ。
あっけらかんと売春し、造作もなく男を農薬で殺す、母と娘から、新藤兼人は、何を描こうとしたのか。この母娘を倫理的な視点からみてもつまらない。
<生>のために、<性>を売る女たちと、<性>の欲望に燃え、<生>を失う男たちが、乾いた感覚のなかで描かれているのは、ちょっとおもしろかった。