タナダユキ監督の『百万円と苦虫女』(2008年)は、映画がいいというより、蒼井優が友だちのいない、孤立した少女を、すごい存在感で演技してみせた作品。
蒼井優がいいので最後まで見たけれど、映画としては時々「やめてしまおうかな」とおもうような場面もある。ほかの女優が主演なら最後まで見れたかどうか?
とくにいやになったのは、前科をもった少女・鈴子(蒼井優)を、むかしの同級生たちが、道端でからかうあたり・・・あまりに説明的・図式的で、いまどきこんなあからさまなあざけりをやるだろうか、としらけてしまう。たしかに説明的な部分であるけど、こういうところをていねいに描いてほしい、とおもってしまう。
鈴子の弟をめぐるいじめの描写も、ありきたりから一歩も出ていない。
でもしかし、そういう欠陥をめだたなくするほど、蒼井優がすばらしいので、途中でやめられなかった。