体が弱り、所属部隊からは追い出され、しかし、病院からは受け入れてもらえない田村一等兵(船越英二 )は、どこへもいくところがなくて、山中をさまよう。
あてもなく歩く田村は、壊滅状態にあるほかの日本兵とあい、いっしょに行動をともにする。
が、彼らは、すでに、敵と戦う意欲など、失せている。指揮系統も機能していない。襲いかかる飢餓との戦いだけが深刻だった。
全編、魂を失い幽鬼のように歩く、船越英二の演技が印象に残る。
むかしは、こんな救いのないテーマの映画でも、観客は映画館に足を運んだのだなあ、とそんなことを考えてしまう。