アニメーション映画はまったく見ないので、これは1968年のビートルズを素材にした映画『イエロー・サブマリン』以来のアニメ体験ということになりそうです。
この映画は、見たいとおもっていました。
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2006年のイスラエル。
戦争体験の記憶が、ある部分欠落している映画監督アリは、その欠落を埋めようと、当時の戦友や取材にきていたレポーターたちを訪ねて歩く。
甦る記憶は、美しいアニメーションで、事実にも幻想にもおもえるあいまいな印象のまま進んでいく。
そして、戦友たちの証言からわかってきたことは、1982年ベイルートを占拠した際に起きた「住民虐殺」に、自分もかかわっていたことだった。
アリは、その日そこにいたのだ。
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斬新な映像と登場人物の淡々とした証言で構成され、センチメンタルな反戦や平和を声高に叫ぶ作品にはなっていない。非常に静かな印象を受ける。
しかし、映画のラストになってはじめて虐殺の実写映像が登場する。冷厳な映像が、事実を伝えて、重い。
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重苦しい映画の後遺症で、どこかへ散歩する気分にもなれないので、映画館のある銀座4丁目から新橋までぶらぶら歩く。「原発反対!」の幟をたてた行列がいっしょで、もらったチラシを読みながら歩く。
銀座8丁目で、「原発反対!」のひとたちと別れた。
新橋の飲み屋街を見て歩いたが、午後の3時ころで店をあけているところは少ない。
それでも立呑み屋を探して、2軒ハシゴした。