かぶとむし日記

映画、音楽、本の感想を中心に日記を更新しています。

西川美和監督『女神のかかと』(2005年)



5人の監督が女性をテーマにして描いたオムニバス映画『female』の一編。



小学生の男の子が強く惹かれるのは、同級生の仲良しの女の子ではなく、その子の母(大塚寧々)である、という設定がまずおもしろい。


家に行き、仲良しの女の子に勉強を教えていても、気になるのはその母の動向ばかり。


美しい母は、台所の片付けものをしたり、洗濯をしたりしているが、時間ができると、少年たちのそばで、読書をしたり、ソファにからだを横たえたりする。


その女の、ほっそりした足、美しいうなじ、半袖のシャツからのぞいて見える腋の下に、少年の目はひきよせられてしまう。少年の頭のなかは、そのひとの魅惑の肢体でいっぱいになる。


小学生の目を通して描かれる大塚寧々が、透き通るように美しく、官能的だ。女は、少年の心を知っていて、わざと大胆に、少年を挑発していく。



もし、、、


話が、美しい年上の女性と中学生の少年、という設定なら、思春期の性的欲望が前に出て、これほど新鮮な官能美はうまれなかったかもしれない。


西川美和監督らしく、肌理(きめ)のこまかい描写がすばらしい。