かぶとむし日記

映画、音楽、本の感想を中心に日記を更新しています。

川島雄三監督『風船』(1956年)


その家の父(森雅之)は、画家ではなく実業家として成功する。しかし、妻は気位ばかり高くなり、息子は財力にまかせて女から女へ、気ままに放蕩を続ける。唯一父の心に近いのは、病気が原因で頭が弱く、世間から隠れて家で暮す末娘だけ・・・。


エゴイスティックな家族にいやけがさしたのか、その父は、会社をやめ、家を出て、学生時代を過ごした京都で、ひとり暮しはじめる。



人物描写は類型的で、川島雄三らしいヒネリがない。


みどころは、ゆっくりと妻や息子に失望していく父を演じる森雅之の抑制された確かな演技。


これは見ごたえがあった。


若き日の北原美枝が、あやしい美しさを発散している。