三木聡監督『亀は意外と速く泳ぐ』（2005年）

この映画で、三木聡（みき・さとし）監督の映画を見るのは、4本目。『インスタント沼』、『転々』はおもしろく、『図鑑に載っていない虫』は、笑いがえげつなくて、最後まで見れませんでした。

で、今回見た『亀は意外と・・・』ですけど、おもしろかったです。

主婦が平凡な日常を脱するためにスパイ組織に入会する、というとてつもないようなストーリーですが、スパイはスパイであることをさとられぬよう努めて平凡な主婦の日常を継続していかなければならない、ということで、映画は日常のなかでも、さらに平凡な日常のなかで展開します。

しかし、その日常がどこか奇妙なのがこの監督の特徴。主演の上野樹里もよかったですけど、さらに友人役の蒼井優が弾けていて、楽しかったです。蒼井優は、作品を見るたびに、新しい魅力を見せてくれますね。

強力な脇役陣、ふせえり、岩松了、松重豊、温水洋一（ぬくみず・よういち）などが、この作品でもいい味を出して、三木聡監督の奇妙な世界を盛り上げておりました。