山田洋次監督の寅さんシリーズ『男はつらいよ 旅と女と寅次郎』(1983年)を見直した。
旅先で寅さんが知り合ったのは、演歌のスター・京はるみ(都はるみ)。寅さんはまもなく、出会った女性がステージを抜け出してきた、演歌のトップ・スターだと知るが、気づかぬふりをしたまま、一緒に旅を続ける。
佐渡島での楽しい旅・・・が、やがて事務所の社長やらマネージャーやらが、はるみを探してやってくる・・・。
都はるみの好演もあって、寅さんシリーズのなかでも出来のいい作品だ。
★
これから思い出すのは、デイブ・クラーク・ファイブ主演の『五人の週末』(1965年)。封切り当時1回見ただけだが、設定が『男はつらいよ 旅と女と寅次郎』とよく似ている。
女性は、人気CMスター。青年は、労働者。
二人は仕事を放棄して、島へいく。仕事の重圧から解放されて、気ままな旅をつづける二人。だが、捜索の依頼を受けた警察が、彼女を追ってやってくる。
どちらの映画も、人気スターは、楽しかった旅の日々を心にとめて、元の華やかな生活に戻っていく。
★
これって人気スターを王女に代えると、ウィリアム・ワイラー監督『ローマの休日』(1953年)にも類似していますね。
境遇や身分が違う男女の<道行き>、というふうにテーマを広げてみると、さらにいくつかの映画や小説が浮かんできそうです。