仕事がおわった2月5日の朝、午前8時35分からの初回上映を、極貧荘のある東武練馬の映画館へ見にいく。さすがにこの早い時間から見る観客はすくなかった。
昭和55年から平成10年までの19年にわたる壮絶なドラマを、時代考証に基いたリアリティあふれる映像で描き出している。ミステリアスな主人公の雪穂役は堀北真希。最後まで本心を見せない雪穂を見事に演じ切った。もう一人の主人公である亮司役には高良健吾。感情を露わにしない彼が心情を吐露するシーンでは、素晴らしい演技を見せる。また、刑事の笹垣を演じた船越英一郎の演技が作品に深みを与え、原作にはなかった“父性愛”の要素をプラスしている。
(「goo映画」の解説から)
ミステリー作品としては、昨年見た『告白』や『悪人』*1と比較してしまうが、このふたつの作品ほど強い力は感じない。
『告白』や『悪人』には、ミステリーをはみだすようなリアリティがあったが、『白夜行』には、それは感じられなかった。
堀北真希は、この主人公の<悪女>をすっかりものにして演じきっているというより、<がんばって演じている>という印象が拭いきれない。清楚なイメージの強い彼女が、この役を消化するのは、まだむずかしいのかもしれない。
でも、堀北真希の美しさを、大きなスクリーンで見る価値はあった。
女子高校生から、美しいおとなの女性へ成長していく。その輝きが、周囲の男性の心を溶かしてしまう。<悪女>までの達者な演技は感じられなくても、それをなっとくさせてしまう美しさは、映画の魅力になっている。
前半では陰の薄かった高良健吾*2は、ラスト近くで印象に残るシーンが連続する。
そして、バンドのベースやドラムみたいに、映画全編に深みを与えているのは、刑事役の船越英一郎ではないか、とおもう。彼が、もうひとりの主人公である。