- 作者: 西村賢太
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2011/01/26
- メディア: 単行本
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- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2011/02/10
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19歳の貫多は、三畳のアパートに住み、港湾人足の日雇い労働でなんとか生計をたてている。1日5500円の労働である。
金が少し溜まると仕事へ出るのがいやになる。お酒を飲んだり風俗へいったりするので、アパートの家賃は滞納したままになっている。
貫多の日雇い労働の日々、そこで知りあった専門学校生・日下部との交流が、抑揚をおさえながら描かれていく。
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私小説作家を公言しているので、貫多は著者自身の体験に重なるのだろう。貫多を通して、人間の卑小さ、ダメさかげんを抉り出していく。
自分のことを書く、といっても、自慢話はだれも聞きたくないし、ぐだぐだした愚痴は読みたくない。
どこまで自分を他人化できるのだろうか。
著者の文体は、乾いている。ぼそぼそと日常の出来事を語る川崎長太郎の文章を連想した。
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『どうで死ぬ身の一踊り』(2006年)ほどのアクの強さは、かんじなかった。主人公が19歳の少年なら、バカな行為も、まだ許される年齢だ、ということがある。
しかし、この19歳の主人公が、30歳、40歳になっても、なんら変わりなく、その日暮らしを続けて、さらに異様な行動をつづけていくことをおもえば、「苦役列車」は、まだ序章のような作品であるかもしれない。
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高学歴の作家がおおくなった。小説家がインテリ化する。知識人・文化人の顔になる。
それはそれでいいのかもしれないが、もともと小説家は、良識を逸脱するアウトローの顔をもっていた。
そういう作家がいなくなったなあ、とおもっているところに西村賢太の出現。楽しみになってきた。