かぶとむし日記

映画、音楽、本の感想を中心に日記を更新しています。

万田邦敏監督『接吻』(2008年)

接吻 デラックス版 [DVD]

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孤独で誰にも注目されない人生を送ってきた女が、一家3人を鈍器で撲殺した犯人をテレビで見て、「自分と同じ人生を歩んできたひとだ」と、直感する。


女は、犯人に面接ができるよう弁護士をせっとくし、差し入れをはじめ、犯人に結婚を迫る・・・。



わたしのなかでは、若い家族3人(夫、妻、長女)を撲殺する犯人のなかに、はげしい憎しみ以外、同情も共感も起こらないので、映画のテーマには共感できない。


また、この映画最後に激しいストーリーの動きがあるが、映画的な売りにはなっても、それまでのゆったりとした語り口をいっぺんに壊してしまうもので、個人的にはこういう結末はよっぽでないと、感心しない。こんなことがありえるのか・・・と興ざめた。


ただこの映画、小池栄子の一瞬、一瞬の表情の変化に目が離せない。小池栄子の名演のために、惹きこまれてしまうのだ。仏像のような彼女の顔が小さく微笑むと、冷っとするような怖さがある。