かぶとむし日記

映画、音楽、本の感想を中心に日記を更新しています。

小林正樹監督『人間の條件』(1959年〜1961年)

人間の條件 DVD-BOX

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全6部作を、週末に2本ずつ見て、全部見終わりました。重い映画ですが、あとからあとから見せ場が連続するので、長さは感じませんでした。


見はじめると、一気に見れてしまいます。



わたしは、現代でも、地位の上下に敏感で、ひとによって態度を変えるひと、自分が優位なら横柄な態度になるひとが大嫌いですが、この映画を見ていると、そういう人間があたりまえで、むしろそうでなければ生きていけないのが、軍国主義、軍隊生活のようにおもわれました。


日常的に飛び交う上官や古年兵の怒鳴り声、しごきやビンタ・・・それが天皇の名のもとに正統化されておこなわれる。


こんな時代に生まれなくてよかった、そういう子供のような素朴な感想をおもってしまいました。



描かれている内容は、深刻ですが、人間描写は正しい人間と悪い人間に二分化されていて、そういう意味ではよくできた娯楽作品という気もします。


主演の仲代達矢は、豪華なベテラン俳優のなかで、すばらしい存在感ですね。黒澤明作品・・・『用心棒』、『椿三十郎』の悪役とは別人のようでした。


正しいことを貫くために、戦争の過酷な運命のなかで生き抜くために、けっして迷わない・・・仲代達矢の強烈な目が印象に残ります。


最後妻に逢わせてあげたかったけど、それで終わっては感傷的過ぎますね。残酷だけど、この終わり方しかないのだ、とおもいます。


全編を見るのはこれで2度目ですけど、強烈でした。