かぶとむし日記

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三浦しをん著『木暮荘物語』


木暮荘物語

木暮荘物語


6編の連作短編小説。構成的には、『多田便利軒番外編』と同じく、章ごとに中心人物がかわっていく。


世田谷の代田駅近くの古い木造アパートに住むひとたちと、それにかかわる周辺のひとたちの話で、6編をつなぐテーマは、セックスだけど、深刻ではなくて、軽い猥談の趣きがある。

  • 元カレと今カレと3人で同居することになった女性の話。
  • 3人のちがう男を交代で部屋に連れ込む、だらしない女子大生の話。
  • 死ぬまでにもう一度女性とセックスしたいが、相手がみつからないと悩む老人の話。
  • 夫の淹れるコーヒーの味の変化で、夫の浮気を見破る妻の話。
  • 女子大生の一部始終の挙動を天井穴から覗く男の話。
  • 年上の女性から、無料でひと部屋を貸してもらい、女の求める代償はセックスだろうか、と真意がわからず悩むカメラマンの話。


柔らかい文章で読みやすく、日常の細やかな描写を重ねて描かれているので、おもしろく読めました。読ませることの上手な作家ですね。上手すぎるくらいです。