かぶとむし日記

映画、音楽、本の感想を中心に日記を更新しています。

吉田修一著『静かな爆弾』

静かな爆弾 (中公文庫)

静かな爆弾 (中公文庫)




吉田修一の小説の魅力のひとつは、作品の舞台が具体的・明確に描かれること。


『静かな爆弾』では、外苑、絵画館周辺がくっきり描写されている。その風景を冴えた文章からたどっていくのも、吉田修一の小説を読む大きな楽しみだ。



早川俊平は、ここで聾唖の女性響子と知り合い、音のない世界で生きている彼女に惹かれていく。


しかし、手に入れてしまうと、そのひとの大切さがすこしずつ薄れていく。そういうものだろうか?


テレビ局に勤務する俊平が、海外取材に奔走しているうち、響子のゆくえがわからなくなる。