- 出版社/メーカー: 松竹映画 コアラブックス
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渋谷実監督の映画を見るのは、これで3本目です。
『自由学校』(1951年)、『本日休診』(1952年)といままで見た渋谷作品も、おっとりしたユーモアがあっておもしろかったですけど、これもその系列で、奈良を舞台にした、風変わりな数学教授(笠智衆)と養女登紀子(岩下志摩)の、仲のよい父娘を巡るのどかな物語でした。
舞台は奈良で、1961年のころの東大寺、奈良公園が映る。小津作品の舞台が鎌倉なら、こちらは奈良か・・・と、どこか符合を感じてしまう。
テレビ放映の解説でもいっていましたが、小津安二郎監督が、同じ笠智衆と岩下志摩の父子役で『秋刀魚の味』を撮るのが、翌1962年。
ということは、『好人好日』のほうが1年早いんですね。
この映画も、養父が適齢期の娘を側に置き重宝していながら、「そろそろ嫁にやらなきゃ」と考えて、娘の好きな男性と結ばせるまでの話で、ストーリーはどこか小津安二郎と似ています。
ただ演出は抑制的なかんじはなくて、父の笠智衆もよくしゃべるし、岩下志摩の娘も快活なお嬢さんで、小津映画を見終えたあとのような寂寥感はありませんでした。