かぶとむし日記

映画、音楽、本の感想を中心に日記を更新しています。

カレル・ゼマン監督『前世紀探検』(1955年、チェコスロヴァキア)



最初テレビで見たのは、小学生のころだった。不思議な感銘を受けたのに、タイトルも思い出せず、映像の断片だけが記憶に残った。


恐竜映画でも、『恐竜百万年』や『地底探検』のような有名映画は、それからもテレビでよくやったのでなんども見ている。


が、あの子供が4人、ボートで川を上り、地球の歴史をさかのぼっていく映画は、あれはなんだったのだろう?


そうおもったまま年月が過ぎて、おとなになってしまった(笑)。



その映画らしきものを、いまから20年くらい前にレンタル店で発見した。まだレンタル店がTUTAYAのようないくつかのチェーン店に統合される前、レンタル・ビデオの群雄割拠の時代だ。


小さなレンタル店にある『時間旅行』とタイトルされたビデオのジャケットに、恐竜とボートを漕ぐ4人の少年の写真を見つけて、ずっと心に残っていたのは、これではないか、とおもった。


さっそくレンタルして、何十年かぶりに見る。ちょっと暗めな懐かしい映像。両岸に出てくる太古の生物・・・ああ、これだこれだ、とおもって、貴重なその映画をダヴィングした。


ところが、それを子供たちに見せていたら、テープがグシャグシャにからまって、ポシャってしまった。



先日、息子、娘、彼らの婚約者たち、わたしたち夫婦で、「野草庵」という居酒屋兼レストランで夕飯を食べているとき、娘からこの映画の話が出た。


小学校の低学年くらいだった娘が、グルグルからまってしまったビデオ・テープをいっしょうけんめいつなごうとしていた記憶は、わたしも憶えている。


そのときの話がキッカケで、再びこの映画を思い出し、ネットで探してみた。


『時間旅行』で検索してもなかったが、『夢幻旅行記』というタイトルで映画の内容が説明されているものがあり、さらに、アマゾンの中古で『前世紀探検』としてDVDが買えることも発見した。


さっそく注文。そして、見た。



三葉虫の化石を見た少年が「本物を見たい」という。少年たちは、この一番年下の少年に「本物の三葉虫を見せてあげよう」とおもう。それから、少年たちは、図書館や博物館で、地球の歴史について調べてみる。


彼らは、ある洞窟から時間を遡れる川があることを発見した。


どうして?・・・という疑問は重要ではないだろう(笑)。少年たちは、戸棚の引き出しの中に別世界があることを疑わないように、洞窟の向こうに地球の過去があることを疑わず、ごくごく自然に、川を遡る冒険に旅立っていく。


少年たちは、川を中生代古生代へボートをすすめていく。マンモス、牙をもった豹、巨大な鳥、翼竜、ステゴサウルス、ブロントサウルス・・・いろいろな絶滅した生物があらわれてくる。その楽しさ。映像は、とびっきり懐かしく、夢を見ているようだ。


わたしは、恐竜が現代に登場するよりも、太古の世界に恐竜を見るほうが、想像力を刺激される。この映画のなかに登場する恐竜は、『ジュラシック・パーク』のようにリアルではないが、だからより幻想的で、美しい。


少年たちは、やがて恐竜もいない地球最古の森林のなかを歩きまわったりして、最後には、ただ海だけが広がる地球へたどりつく。


そして、そこで、少年たちは、この旅行の目的だった、本物の「三葉虫」を発見する!














そして、こんな巨大な恐竜も登場する・・・





『前世紀探検』は、いま見てもワクワクするほどたのしい。夢のような映像の連続に、目も心も奪われてしまう。古代の生物たちが、太古の大陸を走っていく美しさ、といったらない。


わたしの恐竜登場映画<ベスト1>は『前世紀探検』だ、と確信した。