かぶとむし日記

映画、音楽、本の感想を中心に日記を更新しています。

阪本順治監督『北のカナリアたち』(公開中)


湊かなえの小説『往復書簡』の一編『二十年後の宿題』を原案に、「大鹿村騒動記」の阪本順治監督が映画化。ある事件を機に離れ離れになった女教師と6人の生徒たちそれぞれが抱える後悔や心の傷を描く。


(「goo解説」より)


公開2日目、「ウニクス南古谷」で見る。



現在と過去が交錯して、あの日に起こった<事故>にまつわる真相が明らかになっていく・・・という、サスペンス仕立ての映画。


退屈はしないけれど、同じ湊かなえ原作を映画化した中島哲也監督『告白』のような凄さはかんじない。『告白』は、人間の心の<闇>を探りあてていくような不気味さがあった。


しかし、『北のカナリアたち』は、サスペンスよりもヒューマニズムが勝ってしまうのだ。『告白』の松たか子が演じた女性教師のような不可解さは、同じ女性教師でも、吉永小百合にはない。


吉永小百合の女性教師は、映画の始めから最後まで、吉永小百合のイメージからはみ出すことがない。観客は、映画がスタートしたときから、この女性教師に同情的になってしまう。


「こんな優しそうなひとが悪いことをするはずがない、何かよっぽどの事情があったのだろう」


と、おもってみていると、やっぱりそうなる(笑)。


永遠の聖女吉永小百合とサスペンスを融合させるのは、むずかしい。