かぶとむし日記

映画、音楽、本の感想を中心に日記を更新しています。

番匠義彰監督『抱かれた花嫁』(1957年)

松竹の大型映画、本格的第一作。システムは“松竹グランドスコープ”(タテ・ヨコ比一対二・三五)。明朗喜劇花嫁シリーズの第一作でもある。「土砂降り」の共同脚色者の一人、椎名利夫と「踊る摩天楼」のこれも共同脚色者の一人、光畑碩郎の合作シナリオを「母と子の窓」の番匠義彰が監督、「近くて遠きは」の生方敏夫が撮影した。


主演は「海人舟より 禁男の砂」の大木実、「母と子の窓」の高橋貞二、「体の中を風が吹く」の有馬稲子、片山明彦、「土砂降り」の田浦正巳、「異母兄弟」の高千穂ひづる。ほかに望月優子日守新一、戦丘雪路、小坂一也など。色彩はイーストマン・松竹カラー。


(「映画.com」の解説から)


タイトルをみると、ちょっと刺激的だが、内容はコメディだった。


浅草の老舗のお寿司屋さんが舞台。浅草や隅田川がひんぱんに映る。そんな風景を追っているだけでも楽しい。


気の強い看板娘を演じる有馬稲子が美しい。有馬稲子って、こんなきれいなひとだったんだな、ってむかしの記憶をたどってみる。


有馬稲子の恋人(高橋貞二)を奪おうとする敵役の女性を演じているのが、お姫様女優・高千穂ひづる。この女優、こんな役もやっていたんですね。


それから、映画のなかで歌う小坂一也とワゴン・マスターズが懐かしい。ちょっと眩しそうな照れたような歌い方に、子供のころの記憶がよみがえる。


望月優子のむかしの恋人として登場するのが日守新一黒澤明監督『生きる』では、役所のひとたちの情けなさを批判的に見つめる青年だったが、この映画では初老の役を演じている。


そんなこんなで、むかしの映画を見るのは、ストーリー以外にも、たくさんの楽しみ方がある。