かぶとむし日記

映画、音楽、本の感想を中心に日記を更新しています。

升本喜年著『小津も絹代も寅さんも 城戸四郎のキネマの天地』



日本の映画創生期、蒲田調とか大船調とかいわれる日本映画のもとをつくりあげた城戸四郎の伝記。


とにかく、おもしろい。著者は、城戸四郎の内面までドシドシはいっていく。


特に蒲田時代がくわしく、島津保次郎清水宏小津安二郎成瀬巳喜男らが、映画の名脇役のように、生きいきと登場する。


彼らが城戸四郎と向き合う時、その場にいっしょに立ち会ったような臨場感がある。それが、この本の大きな魅力。


もちろん、この伝記の主人公城戸四郎という人物も興味が尽きない。映画に信念を貫いたひとだが、著者はその功罪とも視野にいれて、描ききっている。