かぶとむし日記

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木村草太著『憲法の創造力』(NHK出版新書)


憲法の創造力 (NHK出版新書)

憲法の創造力 (NHK出版新書)


木村草太著『憲法の創造力』では、憲法9条の意義を以下のように説明している。長いけど引用しておこう。

  • 憲法9条の本当の意義


では、憲法9条の担ってきた実質的な役割とは何であろうか。9条は、どのように権力を統制してきたのだろうか。


9条の意義は、核兵器と空母はダメ、軍という名前もダメという量的・形式的な規制をするところではなく、実力組織の武力の行使について、常に、「それが自衛のために必要最小限度と言えるか」の説明を求めるところにある。


単なる説明責任の設定ではあまり意味がないように思われる方もいるだろうが、それは違う。日本政府は、自衛隊の装備や防衛費の総額など、常に「必要最小限度」と言えるには、どのような枠組みを設定しなければならないか、を考えざるを得なかった。結果として、防衛費のGDP1%枠や非核三原則PKO派遣五原則といったルールが成立したわけであり、憲法9条は、平和を維持するためのルール設定への創造力を働かせることを求め続けている。


憲法9条の実質的な改正とは、「必要最小限度性」についての説明責任を廃止することを意味する。それを狙う改憲論は、平和の脅威であり、政府・防衛関係者を含めた日本国民のこれまでの努力を放棄するもので、とうてい是認できない。


(P219)