かぶとむし日記

映画、音楽、本の感想を中心に日記を更新しています。

ルー・リード、71歳の死。


ルー・リードが死んだというのを、ラジオで知った。こういう「つぶやき」のような音楽もあり得るんだ、と、あらためてロックの奥深さを教えてくれたひとでもある。


ヴェルヴェット・アンダーグラウンド・アンド・ニコ』(1967年)も、『ホワイト・ライト/ホワイト・ヒート』(1968年)も、残念ながらリアルタイムでは聴いていない。


あとになって、あの時代に、こんな音楽をやっていたんだ、と、その斬新さにびっくりした。なにしろギターはノイズのように耳障りな音を出すし、ドラムは、「ダンダンダンダン」と、単調なリズムを叩き出す・・・。


90年代ころ登場したソニックユースダイナソーJRを聴いたとき、まっさきにヴェルヴェット・アンダーグランドを連想した。


60年代、ビートルズボブ・ディランの革新性を、目をみはりながら堪能した世代なのに、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドの先進性は、当時見過ごしていた。


1989年に『ニューヨーク』というアルバムが発表された。翌年来日したときには、コンサートを見ている。


このときのドラムスは、ヴェルヴェット・アンダーグランド時代のメンバー、モーリン・タッカー(女性)で、相変わらず不愛想で単調なリズムが楽しかった。それがルーのギターと重なると、へんに心に響くからおもしろい。



1990年にアンディ・ウォーホールが亡くなると、ルー・リードジョン・ケイルが一緒に追悼アルバム『ソングス・フォー・ドレラ』を発表した。ふたりだけの演奏だったが、これが素晴らしかった。


ルー・リードのギターと歌。ジョン・ケイルのキーボード、ヴァイオリンと歌。これだけでアルバムが無造作に進行していく。そのせめぎあい、とんがったサウンドにしびれた。


ふたりだけの最上のロックが、ある。


忘れてはならない。ルー・リードの作り出すメロディ、つぶやくような歌は絶品だけれど、彼の弾く、誰にもにてないギターの響きがとても好きだ。



最後にアルバムとして聴いたのは、ヘヴィー・メタル・バンド、メタリカとの共演アルバム『ルル』(2011年)。ふしぎな組み合わせだったが、これがすごくいい。


固定観念にとらわれるなよ。その気があれば何を試してももいいんだから」というロックの基本的な姿勢を、ビートルズボブ・ディランが教えてくれた。


ジャンルを超えたメタリカとの共演から、そのことをもう一度、ルー・リードに教えられたような気がする。