かぶとむし日記

映画、音楽、本の感想を中心に日記を更新しています。

山田洋次監督『小さいおうち』を見る。

1月26日日曜日。


朝、妻とジョナサンで朝飯。いっしょに「はつかり温泉」へ寄ってサッパリしてからから「ウニクス南古谷」へ。


きょうから公開の山田洋次監督『小さいおうち』を見にいく。


中島京子の原作を以前読んでいたので内容はわかっていたが、山田洋次監督がどのように映像化するか、楽しみにしていた。



元女中だったタキ(倍賞千恵子黒木華)の回想記のなかで、昭和初期から戦時中までの平井家の奥様、時子(松たか子)との交流が描かれていく。


美しく優しい時子に、タキは心を寄せる。自分は結婚しないで、一生ここで奥様といっしょに暮らせたら、とおもう。


そんな時子に異変が起こる。


時子は、家を訪れてくる夫の会社の若い青年、板倉正治(吉岡秀隆)に惹かれる。秘められた恋は次第に強くなって、ふたりは関係をもつ。そのことを知っているのは、タキだけ。


時子の「秘められた恋」に心を悩ませるタキが、最後にとった行動とは?・・・それが回想記のなかで明かされる。



映画は原作を忠実に映像化している。


松たか子の気品ある美しさもいいし、黒木華のじっと耐えながら「奥様」を案じる姿もいい。


板倉正治を演じた吉岡秀隆は、いまも寅さんの満男のままで、奥様の恋の相手に値しないような、唯一、違和感を感じたキャスティング。


昭和初期から日中戦争、太平洋戦争へと進む時代。ひとつの家庭に視点をあてて、そこに起こった「秘密の出来事」を繊細に描いていく・・・


というと、毎年お正月に見ていた向田邦子原作、久世光彦演出の新春ドラマ・シリーズを連想してしまうが、じっさいに同じような触感の味わいがある。


ひとつ、これは原作と映画のちがいになるだろうか。原作にある、タキの「奥様」への想いが、思慕というよりはもっと恋愛感情に近いこと、それは映画では強調されていない。




妻と「かつや」で昼ごはんを食べて、川越の家へ帰る。