- 出版社/メーカー: ハピネット・ピクチャーズ
- 発売日: 2005/03/25
- メディア: DVD
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ミシェル・カンの世界的ベストセラー小説を『クリクリのいた夏』の名匠ジャン・ベッケルが映画化した珠玉のヒューマン・ドラマ。ピエロの格好をして人々を楽しませることを常とする教師の辛く、切ない戦争体験が徐々に明らかになっていく。
主演は『クリクリのいた夏』に引き続いてのベッケル作品出演となるジャック・ヴィユレとアンドレ・デュソリエ。戦争というシリアスな題材をユーモアでくるんだ温かなタッチに心が和む。
(「Yahoo Japn」の映画解説より)
家やアパートで、DVDで映画を見るときは、だいたいお酒を飲みながらの鑑賞になるので、映画館で見るときとは集中力が全然ちがう。だからDVD鑑賞のときは、見終えても肝心のところがわかっていないことも多い。この『ピエロの赤い鼻』も、じつはお酒を飲みながら見ていた。なのに、映画の強い力にぐんぐん惹きつけられてしまった。
戦争のなかでは、強さや勇気が礼賛される。勇ましい言葉を、いったものがちのようなところがある。でも、本当の強さや勇気とはなんだろう?・・・そんなことを考えさせられる作品だった。
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その教師は、週末になると町の会場で、おどけたピエロを演じる。赤い鼻をつけた滑稽なピエロ。彼の小さな息子は、ピエロを演じる父がいやでたまらない。
父は、なぜあんな恥ずかしいことをするのか?
その原因が語られていくが、すごい!
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ある罪状で、4人のフランス人がドイツ兵に捕えられる。ピエロを演じて息子にいやがられる教師も、そのひとりだ。
犯人はふたりのようだが、誰か特定できないので、疑いのかけられた4人が囚われる。
地面に穴を掘って、そのなかに落とされ、もし真犯人が名乗りでなければ、明朝、4人とも銃殺する、という。
ジメジメと底に泥水の溜まった不快な穴。その不衛生のなかで、食べ物も与えられない。空腹と死の恐怖が4人を襲ってくる。
そこへひとりのドイツ兵の見張りが現れる。彼は、穴の外で奇妙な動きをみせる。なんだかわからないが、4人は見入ってしまう。
やがてドイツ兵は、ピエロの赤い鼻をつけ、おどけた動作をしながら、穴のなかの4人に食べ物を投げてくれる。
4人は、明日の銃殺を忘れたかのように、ドイツ兵のおかしな動きに笑い、それから投げられた食べ物を貪り食う。
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翌朝、ドイツ兵が銃殺するために集まってくる。
上官は、きのうピエロの赤い鼻をつけて食べ物をくれたドイツ兵に、4人を銃殺するよう、命令する。ドイツ兵は、銃を構える。
4人は死を覚悟して、目を閉じる。
ところが、ドイツ兵は、4人に向けた銃を地面に投げ出し、上官に向いて、ピエロの赤い鼻をつけてニッコリ笑う。
そのユーモアは上官には通用しない。赤い鼻をつけたドイツ兵は、上官からその場で射殺される。唖然とする穴のなかの4人・・・あまりにあっけない死。壮絶なシーンである。
「この4人がその後どうなったのか?」は、ぜひご自身の目で、ぢかに映画を見てください。
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解説には「心が和む」と書かれているけれど、笑いのなかに滲む苦みが半端でない。
できればいつか映画館で、もう一度見たい傑作。