かぶとむし日記

映画、音楽、本の感想を中心に日記を更新しています。

鬼怒川温泉の旅(11月23日)


川越駅まで、きのう家に泊った息子にクルマで送ってもらう。川越駅を午前8時過ぎ出発。


東武東上線池袋駅→山手線で西日暮里駅→千代田線で北千住駅。北千住から東武鉄道鬼怒川温泉へ向かう予定。


今回は、親戚から東武鉄道の普通切符のタダ券をもらったので、それを利用しての旅。


13時15分の特急券(全席座席指定)がとれたので、北千住駅で1時間ほど待ち時間ができた。駅周辺をぶらぶら歩いてから、コーヒーショップへ寄る。


持参した川本三郎著『小説を、映画を、鉄道が走る』を読む。



川本三郎さんの本を読むと、その読書範囲の広さにいつもおどろいてしまう。小説や映画に出てくる鉄道や街の詳細な調査がすごい。もちろん、川本さんは、一度二度と、その映画や小説の舞台になっている都市や村へ、鉄道に乗って旅をしているのだ。


ひとり旅のお供には、最適な本だけれど、旅の初っ端に、コーヒーショップで読み終えてしまった。



北千住から鬼怒川温泉までは、特急で2時間弱。下今市というところを過ぎると山が迫ってくる。紅葉もところどころ残っていた。


鉄道のひとり旅でうれしいのは、まとまった時間本を読めること。車中、春日太一著『なぜ時代劇は滅びるのか』を読む。


なぜ時代劇は滅びるのか (新潮新書)

なぜ時代劇は滅びるのか (新潮新書)


小さなころ、東映時代劇が大好きだった。中村錦之助東千代之介の若手から、片岡千恵蔵、市川歌右衛門の大御所まで大活躍。まさに時代劇の最盛期で、映画といえば時代劇しか知らないくらい、わたしは、チャンバラ映画に夢中だった。


十代で、黒澤明の『七人の侍』を見てから、時代劇の見方も変わったけれど、いまでも池袋の「新文芸坐」でむかしの東映時代劇の特集などをやると、時間の都合をつけて見にいったりする。しばらく前に中村錦之助特集、大友柳太郎特集などがあって、とても懐かしく楽しんだ。


その時代劇が危機に瀕しているという。何が原因か。


昭和三十年代をピークに映画時代劇の観客激減、それに代わったテレビ時代劇のマンネリ化、監督やスタッフや役者の育成システムの崩壊、プロデューサーの時代劇への無理解、時代劇を演じられる役者の貧困など・・・ひとつひとつ原因があげられていく。


著者は、怒っている。時代劇をつまらなくさせた人たちを、実名で指摘している。時代劇再生には、何が必要なのかも、逆説的に暗示しているが、それがいまの映画・テレビ業界にできるかどうか。


本を読みながら、ときどき目を休めて窓外の風景を見る。列車で過ごす2時間は、短い。





鬼怒川温泉駅からバスで龍王峡へいく。龍王峡の渓谷を歩く前に、食堂で、瓶ビールとラーメンで遅い昼食。


龍王峡は、アップダウンが激しいが、上から見下ろす岩石の景観がたのしい。1時間ほどのコースを歩く。






バスで鬼怒川温泉へ戻り、宿へ電話して駅からの道順を聞く。16時少し前にチェックイン。素泊まり10,800円也。宿に温泉はないので、近くの観光ホテルで500円ではいれる割引券をもらう。


ふれあい橋を渡って温泉へ行き、宿にもどって、無料で送迎してくれるという居酒屋へ連絡してもらったが、あいにく満員。居酒屋をあきらめて、近くのそば屋さんを教えてもらう。


そば屋さんも混んでいた。鍋焼きうどんとおでんを頼んで、瓶ビール、お湯割りを飲む。ほろ酔いで『なぜ時代劇は滅びるのか』を読む。